夏休みには読書しよう

 試験もそろそろ終わり,いよいよ夏休み.行動福祉心理学の受講生諸君もいろいろと計画を立てていることと思います.って,もう授業終わったからこのブログも見てないか.こちらは楽しみに採点します.一般的フィードバックもこのブログを使っていこう(と思うので),ときどき見てくださいね.しばらく学会・出張が続きますので8月の半ばくらいになるとは思いますが.

このブログは,後期には,行動福祉のタイトルはそのままに「行動障害心理学」のバックアップブログとして活用していきますが,授業をとっていない人でも,行動分析学,対人援助に関心のある方は時々のぞいてください.夏休みもだらだらと書き込むつもりですので,コメントを待っています.学外の方でも,もちろん結構です.

 ところで,杉浦日向子さんが亡くなりましたね.まだ46歳という若さで.
 どういう肩書きがふさわしい人かわかりませんが,江戸の空気を姿形にまで纏った作家ですよね.彼女の書いたものは殆ど読んでいますが(漫画ですが),なかでも「百物語」が私は好きです.
 お化けの話を百篇,百本のろうそくを一本づつ消しながら語っていくという例の想定で,江戸に伝わる妖怪や怪談の小編が精妙な筆致で描かれています.この作品を読んでいると,江戸の空気や風がそのまま肌に伝わってくるような気がします.その時代の話し言葉,さらには行動様式,当時の「心の理論」(?)などが,本当に杉浦氏がタイムマシンでも使って,江戸時代のその場に居合わせていたとしか思えないような鮮やかさで,われわれの眼前に現れます.
 怪談あるいはお化けの話というのは,こわいというより,不思議なノスタルジックを感じさせます.わたくしも小さい頃,父親から「これもずいぶん昔のことなんだけど,お父さんの大叔父さんにあたる人が山道を歩いているとね・・・」みたいな話をずいぶん聴かされました.杉浦日向子の百物語の中での語り口そのものが,そうした親からの伝承語り口と似ているからノスタルジーを感じるのか,それとも,もうちょっと普遍的な何かがあるのか判然としませんが,なにか非常に汎文化汎時間的(?)ノスタルジックみたいなのがあるんじゃないかと思えてしょうがありません.それについては他の人もいろいろ論評はしていると思いますが.
 学生諸君にも,そのへんの意見を聞きたいな.ぜひ書店へ走って買ってください.たぶん書店でも特集を組むことになると思います.読んだらまたブログにコメントをください.