お医者さんの膝ベルト

 ネットで「お医者さんの膝ベルト」買いました.
整形のお医者さんは,「ま,なにやっても無駄」ということでしたが,ここまでくれば何でもやるのだ.海外出張まで,はや10日を切ってますんで.8250円というのは痛いけど.装着してみると,確かに,「落ち着く」という感覚はありますね.
 
 「痛み」という極めて自然な嫌悪刺激からの解放の手段というのは,まったくたくさんあるものです.またそれに向けての努力というのも単純明快.スキナーも言うように,病気や苦痛を伴う労働からの解放という意味での技術は進歩しているのはわかります.もちろん癌とか白血病とか新しいインフルエンザとか,難しい課題もありますが,だいたい克服までのメドはたっていると言っていいでしょう.
 やはり問題は,社会的随伴性の中で生まれる嫌悪刺激に関わる行動です.インフルエンザの問題でもワクチンという本来それ自体は自然的随伴性に向けての「対策」ですが,配分となると,とたんに社会的随伴性が入ってきます.
 数が足りない!! 優先順位が決まってるんですってねえ.用意しとかなかったのは社会的随伴性によるものです.同じように,現代の飢餓といったこれもそれだけみれば自然的随伴性の問題も,もちろん配分といった人為的社会的問題でしょう.

 「正の強化を受ける行動の選択肢の拡大」を標榜する行動福祉心理学(行動障害心理学も同じですが),ここでは当然,嫌悪刺激を用いた「罰なき社会」が前提となりますが,自然的随伴性の嫌悪刺激からの解放という「負の強化」に向けての努力と,社会的随伴性で生まれている嫌悪刺激からの解放とは,本当に違うものですね.
 あまりに当たり前のようですが,単純に疑問を呈することも大事かも知れないと,膝ベルトを装着しながら思うのでありました.