オペラント条件づけ

 今日は雪.この10年間,律儀に12月に入ったらスタッドレスに変えていたのに,今年は膝と多忙でまだ未装着.という,こういうときに限って大雪だ(学会の前日に限ってプリンターもこわれるが).しかしH谷は案の定,どっかの車が横向いて坂が殆ど閉鎖状態.タイヤかえても関係なかったな.災害は人間が起こすんだな.(写真は,本道を離れ,林道を行ったときのもの.むかしは夜,きつねに出会った) 

ところで・・・
 最近,ABAという言葉がよく使われる.昔は,Association for Behavior Analysis (行動分析学会)という意味で使われていたと思うが,最近は,Applied Behavior Analysis (応用行動分析)の略として使われることが多いようだ.
 このことについて最初に違和感を感じたのは,今年の春のR大で,発達系の先生が主催した自閉症系のシンポジウムで,「ABA」,「感覚統合」,「TEACCH」 (つづりこれで良かったかな)と,横並びの「技法」として,プログラムが組まれ,そのABAのスピーカーとして紹介されたときである.呼んで下さってありがとうございます.

 応用行動分析というものを,行動分析学を「基礎」(この場合は,動物のオペラント条件づけ「技法」の意味)とした「障害児の教育技法」として捉える人は結構多い.この時は,ゲストで呼ばれた立場だから,多少,方法論(技法ではなく)としての説明をした後,選択(choice)といった新しい動向について話をして,あまり暴れたりしませんでした(とうてい自分の指導教員だとは人には言えないくらい,おとなげなく一人で暴れてたという学生の発言もありましたが).
 ところが,先の北京日記にもあるように,北京でも同じような現象がある.ABA=「自閉症の治療技法」と捉えている人たちが結構多いということです.R大だけじゃなかったんだ.うっかりすると,国際大会で発表している自閉症の治療・教育系の人たちも,ひょっとするとそういう風に考えていると思えるふしもある.身内からじゃん!
 これまで,行動療法,行動修正,オペラント法,ABC,などなど,いろいろな名称が使われてきました.それでいまABA.
 応用行動分析(ABA)というコンセプトのもとで,援助作業を実践することは,行動療法といった,「教授」的機能のみを持つニュアンスとから一線を画す意味で,本来は意味のあることと思います.だが,これを(自閉症の)治療技法と思われるのでは「逆行」です.そのうちPECSと区別のつかないくらい技法的ものに閉じ込められてしまうんじゃないかと心配です.
 「行動修正のコンテクスト」(WebCT:出口論文参照)で書かれているような応用行動分析の特性を忘れて,逆方向に進みながら,あたかも新しい方法論のようにアピールされるのは困ったことです.

 ところで,人間研で今年から実務を担当されているスタッフの皆さんは大変優秀なオペランティストです(昨年も優秀でしたがやや認知的だったな.よく説教された).今年の彼女たちは,ABAなど知らなくても,わたくしがオフィスに立ち寄ると,間髪をいれずに部屋中に聞こえるような大きな声で「はい」と声をあげて,引き出しからチョコとかキャンデーを(ひとかけら)くれます.
どこで教わったんだ?? 人それぞれにあった強化子を見つけられるというのは大変な才能です.
 
 ●「せんせ,ちょうどよかった.チョコたべたら,ちょっと,紀要論文のタイトルでご相談が.センセも連名の・・・・」
 ★なんすか.
 ●「ちてきしょうがいの,あるろうものってなんのことですか?」
 ★Pardon?
 ●「『あるろうもの』って,もしかして名古屋弁?」
 ★『あるろうもの』ではありません.『障害のある,ろう者』です.『あるろうもの』ってそれはないろ.ういろう,ないろうって
あったな.そういえば.