法律・行動・倫理

marumo552006-09-21

 立命館では、サトウタツヤ先生などが「法と心理学」についての論を展開しています。
ルールとしての法律の下で想定される人間の行動と、実際の人間の現実的行動とその法則、その間の矛盾といいますか距離の問題は、「研究と倫理」といった切迫した課題の中でも中心的な内容です。
 自立支援法という法律についても、もちろんルールそのものから想定される被援助者の行動的QOLのゆくえが、第一にすでに多くの問題をはらんでいますが、障害区分の認定という、「客観的に行われる」と想定される作業にも様々な問題がはらんでいるように思います。
 昨日も、某市での審査委員会に出席したわけですが、これまで行ってきた「判定」、とりわけコンピュータ判断からの「変更に関する基準」について(これが審査会の仕事ですから当然ながら)議論になりました。
 判定、判断というものも行動である以上、様々な要因によって変化します。それゆえに、そこに公平性を担保する「装置」や「手続き」をきちんとかましておく必要があることは言うまでもありません。
 判定する集団によって、時間軸上の上で、外的情報によって、人間の判断は変わります。それゆえ、判断の過程そのものを、つまり自分たちの行動の経過を記述していくことこそ、まずはそのような基本的装置であろうと思います。
 全体システムの不備や矛盾は、エピソード的に集約されたり最終判断の全体の集積が、問題点を焦点化していくことになろうと思いますが、判定者グループ内での整合性については、それが基礎となるだけに、その経過問題を数量的に開示し検討対象とすることも必要であろうと思います。

 審査会では、それが「自分たちの行動のモニター」の作業であるわけですが、客観性、判断、といった問題に対して、そのように「ふりかえる」作業の必要性について、なかなか理解してもらえないところがあります。
 「だから、それがおまえの仕事だったんだろ」と言われればそのとおりなんですが。