バリアフリーの心理学(第2回)

marumo552006-10-06

バリアフリーの心理学」のレジュメをアップしました。
タイトルは「ノーマリゼーション・QOL and バリアフリー」です。
http://www.ritsumei.ac.jp/kic/~mochi/BF1.ppt

この授業は「板書で勝負」という、最近のトレンドに従った方向(また気まぐれ作戦)でやろうと思っていますが、やっぱりPPを事前に配信せよという声が多ければそうします(気弱)。

本日のキーワード
 バリアフリーノーマライゼーション、最小制約環境、QOL、同化-統合、異化-統合、
「援助」「援護「教授」

バリアフリーは、それぞれの個人の反応形態の差異のまま、社会的機能を「行動的に」成立させるための援助設定」という風にいちおう定義します。
 身体的な問題がまず想起されますが、「情報バリアフリー」など様々な「差異を埋める」援助設定があります。
 ただ、気をつけなければいけないのは、「差異を埋める」ということが多数派の間尺(ましゃく)で、多数派と少数派(差異を持つ個人・集団)の間の、(多数派からみた)単なる「翻訳」的作業で済むかということです。反応形態の差異のみならず、強化(価値)の差異もみとめなければ、同化・統合の方向と大差がないという話もあります。
 (個人の)「正の強化で維持される行動の選択肢拡大」という目標設定には、すでにそうした価値の自己決定も含んでいるといえばいるのですが、では、バリアフリーという発想にはそういうものが存在しているのか、してないのか。

 てな課題を抱えつつ、具体的な実践研究に突入します。

次回は、「携帯電話はトータルコミュニケーションマシン?」というタイトルで第三回目を行います。最近5年間、ろう重複の障害のある生徒さんや成人を対象に行った研究を、その顛末(てんまつ)から、研究・実践の計画、具体的訓練方法(課題分析)、研究遂行上のバリア(悩み)などをわりと現場的情報も(ブログ風に)まじえながら紹介します。諸君の今後の実験や実践のためにも参考になればと思います。
 なおその内容は『実践障害児教育』の連載でも12月号から数回にわけて公開しますので、生協の書籍部で買ってください(「売れるから置いて」と生協の人に言った手前もあるのでよろしく)。

写真は、かつて地域の高校生を招いて行った「携帯電話を使ったバリアフリー」(ひらめき☆ときめきサイエンス」のセッションから。