最近の中国の障害児教育・福祉の現状

marumo552007-01-20

 標記のタイトルで、土曜日、呂しょうとう氏を向かえ、人間研主催の講演会を開きました。
様々な現状について、実際の社会的随伴性を含め、親御さんの状況から制度にいたるまでの、現在の自閉症児のありようを改めて知ることができました。
 最後に、こちらからの質問で、自閉症児教育福祉を考える上で、中国が現在持つ、あるいは中国にこれから新しいシステムを立ち上げる際の「メリット」として考えられる特徴は挙げることができませんか、という質問に対して、
 まず、あがったのが「人情」。お、と日本人としては思いましたねえ。日本には(現在)ないそうです。
2番目には、もしモデル的システムなど国が決定をくだせば、全国的に一斉にシステムはかわることができるでしょうということ。これはアメリカ的かな。第三は、従来とくに明確なシステムがなかったので、現在、考えられる最良のものを設定できる可能性があるということ。第四には、なにより親が強く求めている現状があるということ、だそうです。
 「人情」については、居合わせた中国人グループと日本人グループで「ほんまそうか」という話にもなりましたが、いわゆる日本人で言うところの地域のストレングス的「人情」と、もう少し濃い「血縁的」あるいは地縁的「人情」とが渾然としたようなものを指すものであるかのように理解できました。
 今後、中国で、障害者への援助のありかたについて考えるとき、技法としてのABAというのではなく、コミュニティベースドな、かつパーソンセンタードな、方法が必要であると思います。個別訓練の部分が専門性の対象となるだけでなく、むしろ先送りしない地域での生活を現実化する上で必要な「援助」設定についても、それは、中国人の人情的DNA(?)に頼ることなく、組織的にそれこそ構造的なものとして戦略に入れる必要があるのではないか、とコメントさせてもらいました。
 いま、「中国で親や先生むけにテキストをつくる」という企画が挙がっています。そのような具体的な課題の前に、どんなことをそこに記載すべきか。世界のどんな「訓練室」でやっても同じ内容ではなく、中国ならではの方法を示すことが必要であり、またそれでこそ共同で製作していく意味があると考えているわけです。



 仁和寺の寒桜