基礎と応用を結ぶ

marumo552007-02-14

 ごしょうちのとおり、人間科学研究所も応用人間科学研究所も、対人援助という実践的目標をすえて、様々な分野や職制の「融合と連携」を目指しています。基礎と応用の連携と融合という作業もそのひとつです。では厳密に「基礎とは何か/応用は何か」という議論はさておき、従来の実験心理学などの知見を、現実日常の人間生活に生かすという意味での応用の例は枚挙に暇がありません。
 とはいえ、まだまだ基礎領域で発見された原理や方法の中には、日常の中でこれと気づかぬ様々な現象があります。またそのことを気づいていく上で、基礎的知識は不可欠なものとなります。
 「『知覚不全』の基礎心理学」(ナカニシヤ)という本が出版されました。これはこのブログの昨日のコメント欄でもちょっと登場した、心理学専攻の松田隆夫先生の最新著作です。「知覚の不全」という生まれつきの障害や加齢などに伴う誰しもが生じる現象までを、感覚・知覚の基本メカニズムの紹介とともにわかりやすく説明しています。知覚心理学の基礎テキストとしても親しみやすいものです。ちなみに、図解の中で登場する目のモデルや横顔や唇は、そのへんにいる人を捕まえて撮影したものです。誰のものか当てた人には懸賞がでるそうです(うそです)。
 松田先生には、数年前から応用人間科学研究科で、同様の趣旨の授業をお願いしておりましたが、ちょっと他ではなかなか無い切り口の面白い授業ですので、今後も開講をお願いしてあります。来年度も、応用人間科学研究科、文学研究科の共同開講科目として開講されますが、さらに発展したお話が聞けるかと思われます。
 来年の院生は、この授業ぜひ出てください。とりわけこれまで実験心理学に接したことのない人、敬遠してた人、身近な題材から基礎的知識に触れることができますからいちおしです。でもボクの授業もとれよ