バリアフリーの心理学:試験総括(1)

marumo552007-02-16

 みなさんには、いささか旧聞に属しますが、バリアフリーの心理学の試験回答状況と総括その1です。
ともかく皆さんご苦労様でした。非常によく書けています。採点していてうれしくてしょうがありませんでした。
 今回、授業で使用したPPの内容をWeb配信のみで紙資料としては配布しませんでした。これはひとつの試みであったわけですが、そのために元ネタとして、様々なところから情報を集めている人が目立ちましたね。それはそれで大変けっこうなことだと思いました。
 問題2の写メールによる居場所報告については、授業に使用したPPの内容が英語のみであったにもかかわらず、この問題に果敢に挑戦した人が多かったのは意外でした。その場で考えた人もいたみたいですが。
 今回はまた他学部の方の健闘も目立ちました。すでに持っている知識を総動員して、その常識力で勝負をかけた人もいるようですが、それでもなかかなもんです。授業に出てなければ絶対わからないような「具体的内容」を問う問題でもなかったので、それについても評価しています。ただ、この授業の趣旨と反するようなものについては減点対象となります。
 例えば、「異化・統合」に関して、「障害は個性だ」といったような解釈はちょっと違うのでアウト。
それからQOLをひとつの指標としてバリアフリーの意味を記述するとき、「心理的QOLが大事だ」というのは、それはそれで良いですが、そこを唯一・最終地点とするのはちょっとアウト。こういう見方も心理学の授業としては言いたくなる回答ですが、行動的QOLを経由した後の心理的QOLならいいですけど、いきなり心理的QOLがよければOKというのはちょっと困ります。精神的満足というのも同様です(これは前期の授業を出ていない人にはむずかしいか)。
 問題1の石川准氏の図を用いたバリアフリーの意味づけは、実はけっこう難しい問題です。これについてはまた日を改めてコメントしたいと思います。石川准氏の原典にもあたって、もう一度考えてみるとまた新たな発見があると思います。

 
 笑っちゃった誤解:「アクティブシミュレーション」と「パッシブシミュレーション」の概念を使用してくれたあなた。でもパシフィックシミュレーションじゃないですから。これだと太平洋実験です。APUか。でもこの図式を利用してくれたことには感謝です。趣旨はよくわかりました。

ともかく、皆さん、とてもよくかけていました。成績が上位の方に寄ってしまいました。感動的によく理解され(私が話した内容より)私の言いたいことをよりエレガントに表現してくれている人がたくさんいました。感謝です。10年前にわたくしがやっとのことでたどり着いた認識に、皆さんはやすやすと到達しています。(私が取り残されているだけか!?)
 問題1の「四象限図式」については、色々な場面で思い出してくださいね。


写真はMSX。このブルーの発色がいいですね(セミプロモデラーU氏からの提供)