心理学研究法入門(伊藤正人先生著:昭和堂)

marumo552007-07-21

 「心理学研究法入門」という名前の本は何冊か出ていますけど、この本では、科学的に考える(第2章)から「論文のまとめ方」(第10章)、「研究における倫理的問題」(第11章)に至るまで、基礎的な方法論から研究実践のありかたまで、コンパクトにまとめてある点で出色の本です。
 研究入門の諸君や外書講読の諸君には、それぞれ「相関と因果」といった基本的な問題から、「英語論文を読めるではなく書く」というスタンスについて授業中に話をしましたが、1,2回生のレベルから次のレベル、さらには他専門領域から大学院に移ってきた院生諸君には、ぜひ、この伊藤先生の著書を読んでもらいたいと思います。

 ちなみに伊藤先生は、大学時代の2年先輩で、学部は教育出身ですが大学院から心理学へ合流し、以来、一貫して実験的行動分析の一人者として活躍しています。
 伊藤先生が心理の大学院に合流したときに、私めは学部3回生で、なんと「実験実習」の時間でご一緒させていただきましたです。ちなみにわたくしの属していた実験グループは4人(だったかな)で、3年生は私ともうひとりで、あとのふたりが伊藤先生、そして現在、某関西の大学で学長をしている手品師心理学者のS先生というへんてこりんなグループで、こちら現役組は四苦八苦してたのに、伊藤先生とS氏は、なんか余裕でテキトーにやってたなという感じでしたねえ。当時の3年生と院生って相当な差ですからねえ。

 最後の自由実験では、今なら到底倫理規定違反になりそうな、電気ショックなんか使って、知覚の抑制みたいな怖い実験しましたなあ。暗闇で電気がスパークしたのに驚いて被験者が電線ひきづったまま逃げたもんなあ。ま、四半世紀前のことですから時効。
 その後も、私が卒論のとき、伊藤先生は修論の実験で、同じ動物実験室をシェアしてました。思えば、伊藤先生は、そのころICを組んで、手作りのSidmanの回避学習のプログラムを走らせてましたよねえ。


 伊藤先生には、立命館でも非常勤とかやってもらってましたが、最近は、行動分析学会の常任理事として2ヶ月にいっぺんはキャンパスでお会いしてます。価値割引とかやりたい人は、捕まえて質問しませう。