第19回対人援助学会(準備会)

marumo552008-05-21

 表記の公開研究会が、本日(21日)7時よりキャンパスプラザで開かれました。
 
 本日のスピーカは、きょうとNPOセンターの野池雅人さん。応用人間の第一期生です。きょうとNPOセンター設立の経緯、活動概要、そして活動事例として「社会的ひきこもり就労支援事業」などについて講演していただきました。この「ひきこもり支援事業」というのは、準備会の第17回の上田陽子さんのFSJG(ファーストステップ・ジョブグループ)の話です。
 
 このセンターのこれまでの主な活動としては、移動サービス、コミュニティFM京都三条ラジオカフェ、福祉サービス第三者評価事業、災害ボランティアセンター、そしてNPOへの融資制度(通称「銀行」)まで、実に様々なものがあるんですね。

 FSJGへの支援としては、グループへの支援というより、当事者への職場提供あるいは雇用という、例外的な直接的支援ともいえるのですが、NPOセンターならではの、きわめて「ゆるい(当事者の希望を容れた)」雇用形態を認め、それゆえに長期にわたってひきこもっていた当事者に対して、「しごと(job)継続」が可能な状況を実現しています。このセンターの持つ特徴は、治療・教育的ではない、また従来の福祉的でもない、融資制度(銀行)に典型的にあらわしているように、「仕事を助ける」という機能を主としている点といえるでしょう。さらにNPO税制への政策提言といった、そうした「助ける」機能の維持のために、行政に対して要請する(adovocate=援護する)というのは、まさにわたくし流に表現する対人援助学の「援助−援護−教授」の機能連環を体現している組織であるといえます。
 
 FSJGをめぐっても、まさに個別個人それぞれに可能な形で「働く行動」を援助つき(多様な労働時間や仕事内容について組織全体が認めていく)で実現し、そのもとで、(治療でも教育的でもなく)あくまで、働く行動の実現に必要な「教授」というかたちで当事者の行動変容にもつなげていく、という連環になっているわけです。FSJGが、当初より活動方針として持つ、まずはグループ家庭間で“めちゃくちゃ虫のいい”仕事創造という方法による「今を認める」援助方針を、現実の社会資源(の選択肢)としてそのまま踏襲してくれたわけで、ひとつの統一したミッション(行動分析学流に言えば「行動の選択肢の拡大」という方針)のもとに、「連携と融合」によって実現したまさに応用人間科学研究科の対人援助ミッションを現実化したケースです。
 当初より皆目わけがわからない治療(医学・心理)モデルでもなく、居場所作りから先は打つ手なしの福祉モデル(?)とも異なり、働く行動を「今」支援し実現する「対人援助モデル」といえると思います。

 対人援助学会(準備会)は、どなたでも参加できます。次回の予告は、立命館大学人間科学研究所HP、対人援助学会HP、そして私のこのブログでいたしますの皆さん参加してください。次回は、立命館大学学生ジョブコーチ第一号の太田和宏さんによる「障害者雇用促進事業の現状と課題」(仮題)です。