応用行動分析 FAQ(3)

marumo552008-07-03

 第三回目の応用行動分析コミュニケーションシートの内容を、以下のように分類して紹介します。
これらをみて、さらに質問のある人はコメント欄に記入してください。回答はこのブログ上でまた公開する予定です。

     応用行動分析 FAQ(3)2008/6/30  

1. マンドの成立を巡って

●「相手が何も言ってくれないからわからなかった」というのは、通常の教育の場でも「言い訳」として用いられてるのではないか? 余裕がないと設定できませんよね。 ★
●わたしたちは言葉で簡単に要求できるが、サインやアイコン選択などを利用しなくてはいけない人たちは大変だと思った。
●従来の援助者と被援助者の「伝統的関係」って何ですか?
●日常生活の場面において、常に要求できる形態を受容したり機会を設定することは可能か?
●言語行動の形態(モード変換などを含め)ができたからと言っても、言語行動の機能が必ずしも(日常で)満たされるわけではないということですが、訓練後の環境設定としては、具体的にどう変えていくべきでしょうか? ★
●マンドの機能の獲得のためには選択場面を日常に設ける必要があるというが、施設外でそのような環境を作るには限界があるのでは?
●要求には限界があるのではないか? 要求を抑制する機能を設置することは倫理に反するか? 一般の人はある程度の要求以上のことは抑えているのでは?
●選択肢を複数用意することは必要だが、資金や時間の制約でむずかしいのでは?
●形式的に「言語獲得」したからといって、言語行動として要求言語行動ができない、というのは、例えば現代社会で問題になっている「コミュニケーション能力」の問題とは別なんでしょうか。(非行少年が自己表現が苦手、とかいわれるようなエピソード)
●援助するためにコロニーにいるのになぜ障がいのある人の要求を取り入れようとする姿勢を持とうとしなかったのか?
●老人福祉でも児童福祉でも、「要求させる場所」が少ない。

2. マンドの訓練手続き(VTRによる研究参照)

●メンタルローテーション(手のひらに反転された書字についての理解)が早いのは訓練のせい?
●Hさんの実験の質問です。実験参加の趣旨をインフォームしたか? ★★
●VTRの聾重複の対象者の人たちの何ができて何ができないのか、という状況がよくわからなかった。個人差があるのでは?
●確立操作である「**もらってきて」という依頼者は、対象者が物をもって帰った場合に分化強化していたのですか?
●ビデオの中の言語的な否定表出の訓練にはどれくらい時間がかかったのでしょうか?
●形態にこだわらず表現できればよい、という話は共感できるが、ビデオに出てきたHさんの、「手で押し返す」という行動は、彼女にとっての「わたくの要求したものとは違います」という意思表示ではないのですか。 ★
●モード変換とは要求を伝えるために様々な言語行動のバリエーションをつくるということだと思いますが、誰にでも伝わる言語行動に形式をそろえるということですか? 何か矛盾しているような気がします。★★
●実験状況ではなく、実際の店舗でこのような研究をするべきではないか? 実際の店舗でこのような研究をすることはあるのか?
●要求言語行動獲得VTRの中で「注意をひく行動」として、「肩を叩く」行動ですが、
問題行動も注意をひく行動に含まれると思いますが、この場では表れなかったでしょうか? 
●(否定の表現の獲得において)親しい人をモデルにした場合には学習が促進されたとありましたが、日常でも、健常者においても、すべての学習場面で応用できないか? ケアの現場でみられる大量の労働資源投入が必要とされる今、興味深い。 ★
●目がみえず声を発することのできない人の場合は何があるのだろうか?
●動物での研究において要求機能はみせかけでマンドにはなっていないことがある、というのは、人の場合では、要求するものがわかっているせいか?

3. 周囲の人が「手話」を学習したことは「援助」機能を持ったか?

●(施設で手話講習のあと)、単語数が違いますけどその原因は?
●「おわり」が最頻出というのは、職員(先生)がするので利用者にも拡がる、という経緯もあるのでは?
●手話を獲得しても、「要求」機能は職員から利用者へのものが多かったというのは印象的。
●手話の日常での使用について、誰がどんな機能で表出したか?
●「手話」の最頻出の単語が「おわり」。これは「痛い」とともに生命に関わることだから?
要求=生命にかかわる、のかも知れない。 ★
●手話を利用するようにしても要求行動にはならない。それは手話で覚えた言葉自体が、要求に使えるような内容ではなかったからではないか? 「終わり」の手話の頻出とそのことは関係があるのでは? ★★

4. その他

●Active simulation とPassive simulationの違いがよくわからない。
●Active simulationといっても、それがうまくいかないときに、どのようにして次の改善につなげていけばよいのでしょうか ★
●個人によって、正の強化が何であるかは異なると思いますが、それを変えることはできるのでしょうか?
●「学研」連載の、お菓子を二者選択する実験ですが、メニューを導入する前から、交代反応をしめすことなく選べた人がいたのが気になる ★
●般化模倣の実験の基礎研究の本を紹介してください。
●もし障害をもった子どもが生まれた時、育児をするうえでしてはならないことは何ですか?
●昨年の予想問題をみたが難しかった。行動分析習う前に応用行動分析だったし。
●援助と援護の違いを教えてください。


 次回の授業では「自己決定」をやりますので、レジュメ(0808)については各自DLしておいてください。
 リンク元はこのブログの前の方の日記にあります。
それと、上記の質問のなかでの「般化模倣」の研究をしたいという人のリクエストにこたえて、私の心理学評論でのレビュー論文(?)を
リンクしておきます。
 http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/hyouron1978.pdf