AAC活用事例集

marumo552009-03-30

 「ビギニング・コミュニケーターのためのAAC活用事例集」(ライクリー・ビューケルマン・ライト編:望月昭・武藤崇・吉岡昌子・青木千帆子 監訳、 福村書店)が、やっと刊行されました。

 元題は、Exemplary Practices for Beginning Communicators: Implication for AAC (Reichle,J., Beukelman, D.R., and Light, J.C. 2002, H. Brooks Publishing )の翻訳本です。全585ページ。厚い! 5センチくらいある。


 足掛け4年くらいかかったのではないか。翻訳に協力してくれた皆様ありがとうございました。
内容は、誰にでもわかるようにつけた副題「機能分析から始める重い障害のある子どものコミュニケーション指導」に表されるようなものですが、前にこのブログでも紹介したように、本来、対象となる人たちを「障害」のある個人というのではなく、「ビギニング・コミュニケーター」と表現している点に特徴があると思います。機能的な社会的行動としての言語行動(=ここでいうコミュニケーション)について、話し手への支援という方向のみならず、聞き手としての行動も視野にいれて(あたりまえですが)、かなり克明に、場面設定やら手続きに関する方法を、先行研究を網羅しながら説明しています。
 これまで応用行動分析で紹介されてきた機会利用型教授法のもとでのマンドの教授方法、見本あわせ課題による語彙獲得の方法、などなど、コミュニケーション指導の総復習もできます。その中で、AACも、あくまで機能的言語行動の成立のためのひとつの手段として(しかし克明に)紹介されています。

  翻訳しているとき、正直「く、くどい」と感じるくらいコミュニケーションの成立のための条件が詳述されています。そういう意味では原書は労作です。翻訳作業もそういうわけで多くの関係者の「汗と涙」が必要でした。

  ちなみに裏表紙に私が書いたキャッチコピー:
「母国語を教えることがコミュニケーション指導ではない。機器に頼ることがAACではない。コミュニケーションが、今、始まろうとする重い障害のある子ども(ビギニング・コミュニケーター)に、どんなタイミングで、何を、どのように支援していけば最大の効果を生むか。コミュニケーション指導の基本ロジックと世界の実践研究事例を網羅かっこいい!!

  ふふ。関係者の方々、買わないわけにはいかないですぞ。 っていうか買ってください。至近距離にいる人には著者割引きあります

写真は、見本版。4月の中旬に店頭に並ぶはず。