応用行動分析(6月1日)・行動分析学特論資料

marumo552009-06-02

 応用行動分析(6月1日)のコミュペにあったQに対するA。

Q1 ・・社会的悪循環の問題で、私自身が引っかかったのは「二度寝」です。
A. ええと。「社会」の部分はどこにあるのでしょうか。


Q2 性格のことが授業では全然出てこないけど、結局、性格と行動は全くちがうものでしょうか。
A.「性格」とは、個人の行動パターンを、誰かが何かの都合で勝手に表現したものです。その表現(言語行動)の中でも社会的に受けたもの(強化されたもの)が普及しているようです。血液型を使ったものもありますね。そういう意味では。


Q3.常に正の強化が存在するような考え方のできないネガティブな人をカイゼンすることはできますか。
A.そういえば、むかしP人間、N人間という表現でQ3にあるような性格(行動特性)分類を、私の師匠が試みてました。「ひとり確立操作」で心配行動ばっかしていて、心配事が的中しない場合に「ほっ」とするのが強化になるという強化随伴性で生きているような「N人間」っていますよね。そういう人って、事態を自分の行動で改善するという行動が充分に獲得されていない人である場合があります。星占いなんかにやたら凝る人ってもそのタイプじゃないですか? 他者の行動に対してN人間だと対人援助の実践では大変困りものです。


Q4.ハトがキーペックする度に大きな音とエサを出す場合、ハトの行動はどのように形成されるのでしょうか。ハトの頭の中で刺激を天秤にかけて判断するようなことも起こりうるでしょうか。
A.ハトの頭の中に天秤はないと思いますが、お腹がすいていれば怯えつつエサを食べる、という状態もあると思います。さっきぼくは賞味期限切れのハムを怯えつつ食べました。


Q5.スキナーの唱える「罰なき社会」では、どんな犯罪を起こした人に対しても罰を与えないということですか?それでは「罰なき社会」どころか「秩序なき社会」が生まれるのではないでしょうか。
A.まずスキナーの「罰なき社会」を読みましょう。行動分析学研究のバックナンバー
を大学からならPDFでダウンロードできます。ところで罰という操作が秩序を作っていると思いますか。


Q6.「社会的悪循環」という随伴性のありようは理解できましたが、解決するための対応というのはどうしたら良いのでしょうか。
A.当事者には相互に強化しあって問題行動が維持されている「社会的悪循環」の状況に気づかないことがほとんどです。臨床の世界でも、クライエントとセラピストがそんな状態に陥ることさえあります。その予防や対処については次の時間に。



Q7.障害者の就労支援の話で、役所が施設が設備をつくりたい、ってどうよ、と思うのですが。就職先で、障害者に併せて環境を整備することに予算をつけないと。視覚障害者の就労支援をしている人が言っていました。ちょっとの工夫で働けるのに、理解が不足しているばかりに中途失明者、弱視者が馴れた職場を離れちゃうとくやしがってました。
A.企業の責任において障害のある人が働きやすい環境を作るというのは確かに障害者就労では主流の方向だと思います。ただそのコストをその企業だけではなく、広く社会成員も負担する、というのが本来の「役所」の仕事でもあるでしょう。ただ、「お役所仕事」として、視覚障害者だったらこれを、中途失明者ならこれ、といった具合に、一律な援助設定では意味がありません。個別の個人にあった援助設定をそれぞれの企業が、その仕事内容に精通しているだけに具体的にカイゼンするという基本方針が大切だと思います。


Q8.赤ん坊の抱き癖をなくすには、泣きやんだり静かにしている時に、強化するという方法でいいですか。
A.基本それですね。泣いたら即時に抱かずに、泣いていない時に対応する操作を行う、つまりは、泣かなくても、あるいはニコニコしている時に、オムツだミルクだと与えればいいわけです。泣こうと泣くまいとそれとは関係なくケアをする、という手です。しかし、「泣く」に随伴して強化を与えることによって、泣くという行動がオペラント行動として成立するようになれば、それは一種の「ことば」が成立しるようなものです。泣くではなく、別のもっと赤ん坊にとって楽な行動でも強化されるようにすれば、抱き癖的な泣き行動は減るはずですよね。
 同様の質問で、レスポンデントへの対処が結果的に絶えず泣く反応に伴うという現実は、そもそも、先行刺激の統制と後続事象によるそれとの区別をむずかしくするのではないか、という質問にも関連しますね。そうであればどうしたって、オペラント泣きになるわけです。しかし、泣いたら即座に対応する、というのではなく、無関係に当該の対応をとるようにすれば問題は解決するはずです。


Q9 抱き癖の場合の確立操作とは、周囲の状況という解釈でいいでしょうか。
A。抱き癖とは、そもそもの強化随伴性の主導権の成り立ちを考えると、赤ちゃんの「抱かれ癖」ではなく、ケアする人(親その他)の文字どおり「抱き癖」です。抱く行動が、嫌悪的刺激(赤ん坊の“泣き”)が除去されることで強化(負の強化ですね)され維持されています。この強化の効果を左右するものは、泣きやむという強化提示そのものが中心ですが、その強化の強度を決定するのは“泣き”の嫌悪性の程度ということになります。それを左右する操作が確立操作です。そういう意味では、親が耳栓をする、というのも確立操作だと言えます。


Q10 レコーディングダイエットは、めんどくさいメモをとる、という随伴性によって食べる行動が減少するとすれば、それは負の罰でしょうか
A.何か刺激が除去されるのではないので正の罰でしょう。もちろん体重が減るというのは、減量できた数値が正の強化であるともいえます。



 6月2日の大学院「行動分析学特論」の資料は以下のところにリンク。本日欠席した人はDLしてください。本日は最初の3枚で終わりました。
http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/09BA3.ppt