応用行動分析05のコメントへのリプライ

marumo552009-05-31

 土曜日の授業(応用行動分析09ABA5)の代表的コメントへのリプライです。

 レスポンデント条件づけの消去と忘却に関して話した、ニオイと記憶にまつわるエピソードについは、実は、同じような体験している人がいっぱいいますね。悲しくで涙を誘うようなエピソードは男子学生ばっかり。そんなもんだよ。
 行動形成(シェイピング)の手続きについて、これは試行錯誤とは違って「今を認める」という対人援助学の○→×の方法のひとつだという話をしましたが、

Q.「今を認めてしまう」と、自分で次ぎに進む意欲を失うのではないか、
A.似たような言葉に「受容」という援助者の態度を表す表現があります。「今を認める」というのは、当事者の選択を無視して行動成立させるのでもないし、本人の努力や試行錯誤に頼って「やりたい行動」を先送るのではなく、行動成立を支援するものです。やりたい行動が援助つきでも達成するその結果によって当該の行動は維持されます。そして多くの場合、援助なしで自らの行動と環境変化が直接的に随伴関係を生じさせる場合にこそ一番、即時的強化を受け、強化力も増すと考えられます。またそのような援助の方法をとることが「過不足ない」援助だと思います。確かに、意欲を失うような援助もありえます。この「過不足のなさ」をどう表現して実行できるかが対人援助学のテーマであろうと思います。

Q.分類や定義について、二つのグループに矛盾しない属性があるとき、あるいは両方の属性を持つ新しいグループがあるとき新しい分類を考えてもよいのか。
A.生物学などでは頻繁にやられている分類の更新でしょうね。応用行動分析においては、レスポンデント、オペラントと名付けられた、それぞれ「先行刺激のみで消長がきまる」「後続事象が次の出現の消長がきまる」という「操作性」による二分法を採用していますが、当事者の行動の理由を分析したり変化させる上で、異なる方法のほうが合理的である場合は、これにこだわる必用はないでしょうね。

Q.本屋に行くとトイレに行きたくなる人、手挙げて! って、授業中にはいなかったけど、コミュペではいましたね(これまた男子)。ビデオ屋さんでお腹が痛くなる人もいましたね。大震災を経験すると、小さな地震でもパニくるのはレスポンデント条件づけか、という質問もありました。
A.地震はそうでしょう。私の亡くなった父親は、関東大震災の経験者で、そりゃもう地震がきらいでしたね。一家でご飯たべてるとき地震がくると全員で庭にお茶碗持って出ました。後半の行動は、オペラント行動ですね。単にパニくるだけじゃなくてそれへの対処としてオペラント行動も形成されていました。必ず職場に「乾パンと水とチョコレート」を備蓄してました。
 コミュニケーションペーパーの中に、ビデオ屋でトイレに行きたくなるのは、リラックスするせいだと聞いた、というのがありますが、それってほんまかい。リラックスした時にトイレに行きたくなる?
 
Q.(ではなくてご忠告コメント)
 日本心理学会のアグネス・チャンさんの講演の時、余計なこと言わないように。

A.気をつけます。ありがとうございます。



 シネマ企画「休暇」の参考フィルムとして、「やわらかい手」を観ました。休暇と、どういう関係があるかはちょっと難しいん(?)ですが、これは確かに秀作ですね。元気の出る映画です。お勧めです。