研究入門ポスター賞(その2)

marumo552009-07-21

 09年度研究入門(心理AO)ポスターセッションの互選投票結果、その第二位は、第一位(10票)と僅差の7票で高山仁志君の「『支配的な犬』という迷信」でした。ドッグトレイナー界あるいは愛犬家のあいだで暗黙のうちに了解されている、「支配的な犬」というものを人間がどう「支配」していくか、という考え方に対する疑問と批判です。

 新学期の授業1時間目に「あれ君、大学院生だろ、なんでここにいるんだ?」と教員(わたくしですが)の「老人力の実力昂進か」と混乱させた発表者ですが、ポスター発表も、これそのまま応用人間科学研究科の修論構想ポスターセッションでも通用するものです。
 ドッグトレイナーという仕事について、「犬をしこむ」という一方的なものではなく、「人と犬の関係とは」という地点からラジカルに問い直した「問題作」です。
 この問題提起は、実はひろく「人・犬」を超えた「人・人」の関係の問題として考え直すこともできます。また、いわゆる動物実験というものを、「動物のことを知る」ではなく「動物から人を理解する」でもなく、動物と人あるいは環境との関係とその表現を問いかえすという再帰的・ラジカルにとらえる行動分析の方法にも通底するものです。
 これはまったく新しい「ドッグ・トレイナー」の枠組みの提出かも知れません。いうまでもなく、アニマルセラピーなどの領域における枠組みも問いかえす内容といえるでしょう。

 あなどれんな1回生。