FSJG講演会

marumo552011-02-27

 ファーストステップ・ジョブグループ(FSJG)の講演会が、27日(日)キャンパスプラザで開かれました。テーマは「今一度、ひきこもりの理解と支援を考える−いつでも、どこからでも−」。今回は、前半に静岡大学の荻野達史先生による「ひきこもり支援は『社会のふところを深くするか』」という講演の後、グループ代表の上田さんのFSJGの概要(ロジックと方法)の説明、ジョブの場と協同的な支援を提供してくれている「きょうとNPO」深尾さん、そして発表者荻野先生による討論と質疑応答が行われました。私は司会。

 「『社会のふところ』を深くするか」という荻野先生のタイトルはなかなか意味深いものですよね。ひきこもり問題を、医学的治療対象(当事者には「病者役割」となる)か社会による援助対象(教育・福祉・司法などこれは「通常役割」)の二者択一ではなく、「第三の空間」を追求するそのことが「(社会の)ふところを深くする」というプロットとお聞きしました。(詳しくは、荻野先生の著作である「ひきもり」への社会学的アプローチ(ミネルバ書店)第8章「ひきこもりと精神医療」を参照のこと)

  FSJCの「ジョブの成立」という支援の対象は、「ひきこもり」の個人的身体的属性(医学的)に分類する(=「知る」)ということでもありません。ひとりひとり異なる当事者に何が向いているかを探すために、物理的な「居場所」のような中間的空間を設けるわけでもありません。あくまでそれぞれの個人におけるジョブ成立に向けての支援の個別性を追及するという、普通の世間にはまずない第三空間的対応の「機能」を明確にしたものであると言えると思います。

  ひきこもり支援グループであるFSJGも、はや10周年を迎えようとしています。今回のセッションには、総勢でいえば90人というこれまでにないオーディエンスが参加してくれました。大部分の人が初めての参加でした。大阪、滋賀、京都からの参加者が大部分ですが、遠く神奈川から参加してくださった方もいました。
 「これまで専門家に相談しても具体的な方法を示してくれなかった。」「今回はじめて、「方法」があることを知った」という感想を残してくれた方が沢山いました。10年前、FSJGが立ち上がった当時と、あんまり状況は変わってないな、ということと同時に、まだまだ広報が足りないという反省も。
荻野先生他、討論者の皆様、そしてオーディエンスのみなさま、長時間おつきありいただき大変ありがとうございました。司会が疲労で、途中ちょっとへたってすいません。明日は胃カメラという状況も常に頭によぎって・・・

  それにしても、キャンプラの設備代金って、ちょっと高すぎないかなあ? 会場(部屋)代が相対的には安い(といってもホテルなどと較べてですけど)こともあるかも知れませんけど、マイク2本とスライドのバック照射装置を使うというほとんどビルトインな装置使っただけで、会場費の3倍近い料金というのは、ちょっとアンバランスというか高くないですかね。

 FSJGのロジックと実践を紹介した文献は、http://www.ritsumeihuman.com/hsrc/resource/16/open_research16.html にあります。