今週の応用行動分析とコミュペへのコメント

 今週(7月8日金)の「応用行動分析」は、自己決定の続き(その7)と、期末試験の予想問題について若干の解説をします。「予想問題」は、WEB-CTにPDFでアップしてあります。
 ちなみに、最終講義予定の授業レジュメ(その8)もWEB-CTとHPにアップしてあります。(WEB-CTの方にはPDFもあります)。
 シラバスには、就労支援、個別の支援教育、行動問題が予定されていましたが、申し訳ありません。今年も積み残してしまいました。(「就労支援」については、からくも資料だけはWEB-CTにアップしました。望月.pdf というのと、Nakashika.pdf というファイルで挙げてあります。スキャナー経由のPDFなんで大変読みにくくてすいません。)


 さて、前回のコミュペの中から、いくつかご紹介。
1)前回の授業の要求言語行動(mand)の「訓練ビデオ」で、モデルとなった職員の方は、「お願い」や「お礼」の仕草をしたのに、当事者の方はそこを真似していないのが気になりました。このような「訓練の場」で社会的あいさつやお礼がどの程度重視されるのか興味を持ちました。(ANさん)

2)人による車イスの補助は”他立的自律”と受け取れますが、電動車イスは”自立的自律”なのか、それとも”車イス”という補助(アシスト)があるために”他立的自律”なのか。。。どちらなのでしょうか。 (DMさん)

1)の疑問や感想は、他の人からも寄せられています。確かに、当事者の人はちょっとぶっきらぼうに物品を受け取っているように見えますよね。「違います」(NO!)反応では、単に「押し返す」ような乱暴なものではなく「穏やかな否定」とも表現していたことを思うと、ちょっと矛盾。当時、「要求は当然の権利」みたいな文脈が「訓練者」にあったのも否めません。「ください」と頭を下げる、といった行動は「卑屈」ではないか、という思いです。「ハンディキャップ」という言葉は、もともとお金を恵んでもらうのに帽子を差し出すという様子を示すものだから使わない、というのに似てます。施設の中でのQOLの拡大という、やはり特殊な環境での実践がゆえの当方の屈折かも知れません。これが最初から地域の中での買い物とかを想定していたら、もう少し丁寧な反応形態を形成することを考えたかも知れません。
 今回のビデオの「訓練」には、聾者(手話が第一言語)の人にも参加してもらって意見をもらったことがあります。そのときは、もっと表情豊かに仕草のひとつひとつに心を込めろ、みたいに叱られたことがあります。権利(主張)の問題以前に「訓練者」であるわれわれがあの状況の中で横着こいてた可能性もありです。

2)鋭い質問です。「他立」=援助つき というふうに簡単に記述してました。そこで、特に障害の有無に関わらず、「みんな他立で行動しているのだ」、という主張を維持するために、電動車イスによる移動も「他立的自律」と定義したほうが良いかな(?)という心細い回答をとりあえずしておきます。じゃメガネをかけて好きなものを見るのも「他立的自律」ということになりますかね。