作業ミス?(5) 空気感染すんのかコンピュータ・ウィルス

 愛用のノートパソコンの調子が最近悪くなった。マイコンピュータをクリックしても5分くらい出てこなかったりというえらい遅く重い機械になってしまった。これでは授業での使用にも差しつかえる。というわけでコンピュータに詳しい某研修生にみてもらいました。と、
 「せんせ。このコンピュータぜんぜんウィルス対策してないじゃないですか・・・!」
と叱られちゃったわけです。
 そのコンピュータは、授業とか研究発表のプレゼンにしか使わなくて、有線でネットにつないだこともない、業務専用のほんとに「まじめ」で「清潔」なはずなんだけど・・と、もごもご言い訳をしてたら、
 「これ見てみんさい!」
って、画面上の示されたウィルスリストをみたら、なんとまあ「トロイの木馬」が何百頭いることやら壮観だこれは。こんな小さなコンピュータによくもここまで馬が入るもんだ。馬牧場かこれは。
 はい。確かに、学内LAN使ってました。それにピッチでモバイルもしてました。危ないことは理屈ではわかってたんです。理屈ではわかってたんですが・・・・・。
 若い世代の人にとってみれば、「コンピュータ『ウィルス』に『感染する』」というのは、比喩でもなんでもなくリアルな現実として、しかるべく対処すべきものですよね。その内容は、当方も頭(知識)としては理解してんですけど、やっぱり『ウィルス』とか『感染』は、発病者が出ると保健所の人がマスクしてポンプで殺菌剤を撒きに来たジフテリアとか、あまり行ってはいけないところでいけないことをすると染ってしまうような生物的内容のイメージが強いんですね。よく手を洗って、「悪いこと」しなければだいじょうぶみたいな。もちろん「空気感染」ってのもあるわけですけど、それはもう運が悪いと諦めるしかないようなもの。
 有線でネットにつないでいなかった事(接触感染はなし)、アダルトサイトなんか見てなかったこと(悪い所で悪いことしてなかったこと)、それで何となく油断してたんですね。空気感染なら仕方がないし(って問題じゃないんだけど)。
 それまで持っている概念や知識というのは、いくら新しい「事実」を理屈で言われて理解したつもりでも、なかなか実際の行動に移すほどには変更しにくいもんなんですね。
 アダルトサイトとか見てないから大丈夫みたいな、「感染」に対する間違った誤解偏見あるいは「因果応報的発想」といったものが、エイズなんかの生ものの本物のウィルス対策でも、なかなか克服できないバリアであろうことを身を以て知った次第です。
 さらに敷衍した結論を言うと、専門用語などに含まれる「実は」比喩的な表現あるいは従来の概念とは“ずれた表現”というのは、広義の意味で作業ミスを生む可能性もあるということかな。
 ちなみに、ピッチでのモバイルはともかく、学内LANでの接続については、「消毒ずみ」の内容を扱っているのだろうと、今のいままで、たかをくくっていましたが、さっき★先生に聞いたら「院内感染」の最たる状況なんだそうです(って、やっぱりよくわかんないな)。
 「コンピュータウィルスって人間にも染るんですか」っていうジョークがありましたけど、機能的には染りますよね。大事な原稿書いているときに、感染して全部だめになってインストールし直しなんて事態に遭遇すると、食欲とか意欲とか一気に失いますよね。そして、比喩なら比喩らしく、冷静に対処できるようなデバイスを使用してもらいたいですな。「ウィルス」に感染した時に、ほんとにおぞましい「虫」が足をばたばたして画面に現れるっていうのがあったじゃないですか(最近、見ないな)。あれほんとに不気味でいやでしたね。あげくは「駆除に失敗しました」なんて表示されたら、画面に近寄りたくなくなります。
 コンピュータまるごと消却処分したくなります(実際に捨てた人をわたくしは知っています)。