2つの論文のアップ(院行動分析学・学部行動障害心理学)

 出口論文(行動修正のコンテクスト:行動分析学研究第2巻,48-60.)と,望月論文(福祉実践の方法論としての行動分析学社会福祉学研究,30巻,64-83)を,WebCT(行動分析学特論・行動障害心理学)にPDFでアップしたので各自ダウンロートして読んでおいてください(望月論文のほうはなぜかページ順が逆になってしまいましたがそこんとこは宜しく).
 前者では,行動主義を選択する行動とはどんな随伴性のもとになされるのか,後者では,徹底的行動主義のもとでの行動的技法の捉えなおし,が述べられています.
 トークン・エコノミーなどは,それまで「あざとい技法」として世間から認識されてきましたが,根底から考えるとまったく別のものであることがわかると思います.そのことは,ファーストステップ・ジョブグループの活動紹介や,さらにはエコマネーといったシステムを参照するとよくわかると思います.
 なお,このブログの用語集でのスキナーの解説では,ラジカルが「急進的」と訳されていますが「徹底的」というのが一般的です.その意味は,われわれ自らの常識や研究行為自体もまた行動随伴性の枠組みで捉えなおすということです.こればっかりは他の立場の心理学にはありません.常に自らの行為を反省するという構造を持つという点で,行動分析学はきわめて「倫理的」な仕組みであるといえます.
 大学院の諸君は,他の授業でも研究倫理について学んでいると思います.また実習や実践の際には,いくつかの遵守する必要のある要件も学んでいると思います.
 プライバシーの保護,インフォームドコンセント,成果公開といった義務などは最低限の遵守項目ですが,それらを単にマニュアル的に実行すればよいというものではありません.
 研究の目的そのもの,そしてわれわれが研究する行動自体が何によって強化されているか,たえずその随伴性を顧みることが必要です.
 そのことが,当研究科のテーマでもあります.「コアエシックス」というのは先端研だけじゃないんですよ.