星星雨教育研究所

 すぐ近くよ、とR君が予想していたわりには、渋滞もありタクシーで40分ほど、だいぶ都市周辺の地域といった風情の、ホテルからはずいぶん遠い場所に星星雨教育研究所はありました。関空で携帯電話を借りておいてよかった。タクシーの運転手さんに研究所の人と直接場所を確認してもらって、やっと着きました。
 思ったよりも大きな施設です。小さめの幼稚園といった感じの大きさです。これを税金の補助なしにやるというのも大変でしょう。壁には、ロバースとかショプラーなど、おなじみの人たちとの記念写真が飾ってある。また、親御さんたちによるこの施設に対する「評価」が、貼り絵のドットによる投票様式で張り出されている点がなかなか面白い。
 で、所長の田先生は、実に明るく闊達な、たしかに中国で唯一といえるこの種の施設を運営されているだけのことはある魅力的な方でした。
 
 中国では、なかなかABAが受け入れられない、知りもしないで「ABAはもう古い」といった言われ方をする。そういうお話でブリーフィングははじまりました。「じゃ、その古くないやつってどういうのを言うんですか?」と聞くと、ティーチとか感覚統合だというお話。ほおお。どっかで聞いたような取り合わせだな。「ティーチって、基本はABAじゃないですか。だいたいティーチって、最近日本でも・・・・だし、感覚統合ってそもそも・・・・・・」とコメントすると、そうでしょ! その通りなのよ! あなた今日の予定はどうなってんの。「あ、別に特に・・」、じゃ、昼飯食べさせてあげるから、午後からABAとティーチの関係について、職員向けにレクチャーしてくれない? え? い、いいですけど。って、日中あるいはティーチと感覚統合との関係悪化を懸念してか、目を三角にして「だ、だいじょうぶか?そんな話できるのか?」と制止するRたちを無視して、場の流れのままに午後の即席講演を快く引き受ける。みくびるんじゃない。しっかり通訳すんだぞ。
 ここでは、中国全国から11週間、集中的に親御さんと自閉症のお子さんが来て、ABAの方法を学んでいくシステムで、最初に見学したクラスでは、先生ではなく親御さんが、指導されてました。10人くらいの親子(親10子供10)が、ずらっと並んでいる前で、先生がひとりづつ子供を呼んで、マンツウマンの指導を行い、その講評を行うというやり方で授業を進めるという感じです。ひとり2,30分かけて、社会的強化とタッパに入った卵ボーロみたいなものを使ってました(後で、強化子ください、といって食べさせてもらって味を確認)。もうひとつのクラスも同じシステムで、やや障害の重い子供たちのグループに指導をしていました。親子プラスおばあちゃんという3人一組で参加しているところもあったようです。
 食堂では、コックさんが5人くらい居て、親御さんからは10元しかとらないというけどなかなかのヘルシーかつ本格の中国料理。ごはんか、饅頭か、ナンみたいのかを選択できたりもします。