大学院「行動分析学特論」業務連絡

 今年の最終授業で引用した,コロニー織田論文,同じく桂木論文,そして私の「行動的QOL」概念の論文については,WebCTの「行動分析学特論」の講義レジュメにアップしておいたので,お正月に,こたつで読んでおいてください.
 いずれも「行動障害=問題行動=行動問題」に関わる実践の中で,いわゆる豊穣環境の整備(具体的には行動の選択肢拡大)という.プロアクティブ(前進的)な対応について論じたものです.
 応用行動分析の世界では,問題行動への対処は,機能分析,DRAという筋書きを持つポジティブビヘイビアサポートが,現在のところ(いちおう)主流となっていますが,機能分析のあとの,ポジティブな対処の中には,必ずしも機能分析の結果しめされた問題行動の機能(なにが強化か)と,まったく等価(Equivalent)な適応行動を強化するという戦略をとっているとは限りません.DRAのいうAの部分に,必ずしも,等価行動をおくわけではないということです.その問題行動の機能に対応した確立操作(環境の豊饒化なども含めて)などを置く場合もあるので,実は,機能分析から具体的行動形成の内容決定には,ジャンプがあるということです.
 現状環境の中で示されている問題行動の解決にあたり,現状環境の随伴性の中で,代替行動を強化(DRA)するという方針は,きわめて限定的な行動を形成するだけに終わってしまう可能性があり,ある意味,後ろ向きな対応(リアクティブとはいわないまでも)になる危険もはらんでいるように思えます.
 上記の3つの論文では,問題行動(強度行動障害)が,実践のきっかけではあっても,その解決をはかるのではなく,まず大事なことは,行動的QOLを拡大する,という共通ミッションを確認するということに力点をおいたものです.純粋プロアクティブな姿勢です.

上記の論文は,行動障害心理学のQebCTにもアップしてありますから,学部生も読んでください.
来年から,カリキュラムが変わりますので来年以降は公開しませんし.