人間科学研究所特別公開企画やりました

marumo552006-02-25

 人間科学研究所主催の公開シンポジウム「当事者と共に創る対人援助学」が、25日11時から立命館大学アカデメイア21で開かれました。
午前中は「待つだけでない『脱ひきこもり』への援助論」、午後は「『ホームレス」問題を解決するための社会的起業-援助付きの就労機会の提供をとおして-」という2つのテーマの発表と討論が行われました。「待つだけ・・」では、ファーストステップ・ジョブグループ(FSJG)代表の上田陽子さん、京都NPOセンター野池雅人さん、「ホームレス問題・・」では、(有)「ビッグイシュー日本」代表の佐野章二さん、販売担当スタッフの吉田耕一さん、そしてビッグイシューの販売員の方2名が発表されました。司会、討論者は、中村正、サトウタツヤの両先生そして私の3人の順列組み合わせ。
 「ひきこもり」と「ホームレス」という2つの取り合わせ、なかなか面白い出会いでありました。両者ともに「はたらく」という行動を援助する組織であり、その共通するポリシーと戦略は、givenでもなくgetという行動的原理、「交換」による人権発生、そして行政や福祉とは違うスタイルで就労に向けた「最初の一歩」を「援助つき」で実現するということにあったといえます。
 「脱ひきこもり」のFSJGの活動は、すでにこのブログでも紹介していますが、代表の上田さんは応用人間科学研究科の現在M2、そして、きょうとNPOの野池さんは応用人間の第一期生。上田さんの活動の中で、はたらく行動の選択肢である「仕事メニュー」が、親子グループの身辺的環境の中で限界がみえてきたとき、先輩である野池さんのNPOがひきうけてくれた、というまさに「連携」の具現化ともいえます。
ビッグイシューも、すでに「大阪オフィス訪問」についてブログで紹介していますが、販売員(ベンダー)さんの生の声というのは、やはり聞いてみないとわからないという話が満載でした。販売の際の手袋の使い方、譜面台を使った最小占有面積での販売、などいろいろなノウハウがあるもんです(このあたりの詳しい内容は、応用人間のM2の寺崎さんの修士論文でも詳しく紹介されています。ベンダーさんのマニュアルにもなりそうなものです)。
 一般企業の就職には、免許証、身元保証、携帯の所持が断然有利とのこと、携帯電話の実験がまたできそうです。最近は、ホームレスの人の若年化が目立つそうです。ベンダーさんのひとりは、昨今の社会状況はさらにホームレスの増加を促すだろうと警告を発しておられました。ちなみに、移動が勝負のホームレスには、長い間、部屋にいて運動不足の「ひきこもり」や大学教授にはとても無理だそうです。とほほ。
 代表の佐野さんが、この困難な事業の立ち上げに際して、「おもろいこと」をやらなきゃという最後の踏ん切りで決断されたというお話は印象的です。「おもろいこと」なんか久しぶりにきく言葉です。誰もやってないから仲間を集めてやってやる、関西人のストレングス感じます。
 「人間研でもおもろいことを追及していきたいと思います」というご挨拶で6時間にわたるこの日のシンポジウムの幕を閉じさせていただきました。みなさまご苦労さま。