N養護学校の研修(2)学生ジョブコーチ報告

marumo552006-03-07

 N総合養護学校で研修がありました(応用行動分析学その2)。わたくしの発表は、強化とは「ほめる」ではなく、「今を認める」「やったぜ感」、という前回の続きの話を少々。あとは、このことを踏まえたM1院生のI君とO君の2005年度の学生ジョブコーチ(SJC)の経過報告でした。I君の発表は、「実習記録」の記入形態を変えることで、実習生の、仕事に対する具体的なコメントが(他の「しんどい」などはそのままに)際立って増大するというもの。O君の発表は、仕事のチェックリストに自分で記入して、その「言行(行言?)一致」をSJCがチェックすることで、自分の仕事の出来を自分で評価できるようにし、かつ頻繁な評価要求を減らし作業時間を短縮するというものでした。
 今年度は、結果的に「当事者の参加の可能性」が試された年でした。職場実習の修論SJC(R君による)でも、実習職場の「選択」に始まり、実習が開始されたあとは、携帯メイルをコミュニケーション窓口として当人の報告や要望を聞き取り、職場に伝えそれを実現していく可能性を検討したものでした。
I君とO君のものも、いずれも自分で自分の仕事内容について客観化、言語化していく(I君の表現では「機能化していく」)ことをテーマとしたものといえます。「援助しやすい」機会的課題分析から、より行動分析的な「機能分析」へ、そして「セルフマネージメント」へという方向であるともいえます。さらに、O君の今年のプランは、上回生の実習生が下級生に指導することを通じて、課題分析作成や自己評価のスキルも磨いていこうというものです。
総合の1年から3年までの時系列の中で、いわゆる中期的計画をどのような基本戦略と目標をもってアレンジしていくかという課題も、今回の成果から具体化できそうに思えます。
 職業訓練(実習)とは、就労に伴う報酬による「達成感」、仕事内容に自発的に関与しその成果を自分でも社会的にも評価される「達成感」、このふたつのことを学習することが、生徒に対する「教授」内容であると思います。後者では自らが職場環境を変えるという、いわゆる「かいぜん」が含まれます。前者の問題はまだ系統的に追及されていません。学校組織と「現金授受」というのは昔から大きな問題ではあります。しかし、株取引を教える学校教育もあるくらいですから、より基本的な労働とその対価の関係についても、職業の選択といったすぐに現実化する実習生の将来を考えれば手を打つ必要があるかも知れません。