人間科学研究所、「研究倫理を考える」

marumo552006-07-31

 7月31日、人間科学研究所研究倫理ワーキング・グループ連続企画「研究倫理を考える」第三回が開かれました。タイトルは「コミュニケーションとしての研究の倫理」、講演者は、、私(望月)、天田城介先生(先端権GP担当)、海外事情紹介を大野カヤさん(クラーク大学大学院生)、コメンテーターに、サトウタツヤ、中村正、未来工学研究所の織田さん、という顔ぶれ。

 私の発表は、慶應坂上貴之先生の「倫理的行動と対抗制御―行動倫理学の可能性」(行動分析学研究19(1)、2004)をだいぶ参考にさせていただいた上で、
1)個人の問題に帰するような「研究者倫理」ではなく、社会的行動としての「研究の倫理」の課題としてこの問題を考える必要があること、
2)非倫理的行動をしない、あるいは非倫理的行動をしないという(狭い意味での)倫理行動の促進ではなく、研究(実践)の目的自身が持つ倫理性についても絶えず考える必要があること、
3)対象者に対する倫理についても、対象者―研究者の二者の関係の中で、なにかその権利(や損失)が、二項対立の中で、あるいはトレードオフのような関係としてとらえられるような状況から脱する必要があること、それには
4)基本的に、対象者の行動の権利の拡大と、研究行動の促進が連動するような、そのようなco-operativeな行動を増大させる仕組みとして「研究倫理」のルールの文脈を確認していくこと、
5)「対人援助」の実践・研究においては、まさにそのような研究のあり方が追求されていること、
6)それは、具体的には、社会的成員→研究・実践者→対象者の流れでのコミュニケーションを逆転すると表現できること、(望月,1997)
7)しかし、えらそうな信念をいだいても、その信念がゆえに「対人援助」という実践領域こそ、研究者(実践者)が、研究の公正さ(integrity)から外れたり、対象者の望まない援助を押し付けてしまうことがあること。ゆえに、対象者から研究者(実践者)に対する対抗制御(counter control)の回路を、理念だけでなく技術として開発すること(Nozaki and Mochizuki, 1995; 望月,2000)、
8)直面する課題の例
 
てな話を、30分でまとめるだけの力量があるわけなかったです。すいません。
3回のシリーズは、テープ起こしをした上で、オープンリサーチセンター事業の研究シリーズとして人間研から発刊されますので、そのときには、きちんとわかるように書きます(得意のあとだしじゃんけん)。はい。