バリアフリーのための心理学(第一回)

marumo552006-09-29

 シラバスがめちゃくちゃであったにも関わらず多数出席いたみいります。
同化-統合、同化-排除、異化-統合(共生)、異化-排除、という4象限の中で、「バリアフリー」という概念はどこにおける「作業」にあたるのか。例によって、静的状態を定義して「あるべき」状態のための手続きは現場で適当に、というのではなく、むしろ現場での具体的実践を中心に、その方法を批判的に検討していく、というのが、この授業の趣旨です。

「同化-統合」におけるリハビリテーションと対置した形での「異化-共生」の実現にむけて、行動分析的対人援助学というスタンスからの戦略を考えます。
 実証的なネタもとは、ちょっと古くなって恐縮ですが、私の学位論文(未公開)の内容である、ろう重複の障害のある成人におけるコミュニケーション成立についてのものを中心とする予定です。「心の理論(のある/なし)」などという一方的に欠陥としてとらえられる障害性についての学術的概念などにも言及したいと思います。
 法学部の学生さんもいることだし、また私の授業が始めてという人もいるようなので、少し、行動分析学的な解説、とりわけ言語行動などについてはひととおり授業で復習します。

 写真は、授業でも紹介した「禅的生活」。数年前に母親の介護つき施設を、東京で鬱々とした気分でさがしまくっているときに電車で読んだものです。
 このブログの「日々是新鮮」の原型(?)である「日々是好日」、わが社名の「安心立命」などに関する説明も平易にまとめられています。「因果」についての記述など、対人援助学を考える上でも参考になるものがあります(と思います)。鬱の人(「控えめな哲学者」というくらいで本当は必要な状態かも)にもぜひお勧めします。