心理学外書講読受講の諸君へ

marumo552007-05-16

 前回、はじめて発表形式で授業がスタートしました。なかなか良く読めていましたね。
この間の論文は、それ自身短いものでしたが、「問題行動の対処」という内容は応用行動分析の歴史の中でも、その歴史が比較的明確に分類できるもので、しばらく後で発表されるCarr and Durand の研究を、ひとつの集大成として、以降、その簡便版や、やや新しいスタイルのものも出てきています。
 授業の目的としては、もちろん「英語論文の読み方」が基本ですが、この授業を通じて以下のことも目標設定として考えられます。

 1)英語論文の書き方を学習する:読むときには、常に「自分で書くときには」という想定で作業をしてください。これは英語で論文を書く場合でも、日本語で卒論などを書く場合の両方の場面で役に立ちます。
日本語論文を読むときは、なんとなく内容が了解されちゃうので、記述方法を意識的に学習する気にはならないことが多いので、英語論文をそのような意識でよむことは効果的です。
 細かい部分では、実験論文や心理実験に使えそうな英語の用法も指摘しましたが、それも、きちんと自分でファイルしてデータベース化してください。諸君が卒論を書くころには、心理学専攻の卒論は英文のアブストラクトが義務化されていることも予想されます。
 どんな表現が出てきましたが?  「幼稚園に『通っている』・・・」、「『観察によると』・・・」「実験を『行った』」など、いくつかの使えそうな言い回しがありましたよね。

 2)コンセプトや方法を学習するJABAを中心に読んでいますが、ある課題対象に対して、どういうアプローチの歴史があるのかを、その単体論文だけでなく、そこに至る文脈ごと読み取ってもらいたいと考えています。それは単体とその引用文献だけではわからないこともあると思いますので、適宜、私が解説をいれますが、専門用語などが出てきた場合、日本語の教科書(「はじめての応用行動分析」(二瓶社)、「応用行動分析入門」(学苑社))なども参照してください。 
 前回の授業では、行動を抑制する方法として、消去(Extinction)、罰(punishment)、DRI、DRO、などの手続きを紹介しました。各自、その方法を復習してください。あとDRAとか(これは今は中心的方法)、NCRといったものもあります。
 こうした方法は、いったんはパッケージとして頭に入れておいてください。将来、絶対役に立ちます。
 
 3)方法の妥当性などについて批判をする力をつける:論文を読むときの最終的なゴールは、これを批判的に読めるかということです。それは手続きである場合も、目標設定そのものである場合もあります。批判的に読むことで、自分が実際に研究する際の展開が思いつくようになれば最高。

 前回の私の「批判」は、問題行動を減じる際に用いられていたDNROという方法についてでした。
私が、どのように批判したか理解できましたか? それはいったいどんな根拠でなされたのでしょうか。
 問題行動の低減についての最近のJABAの論文には、同じような課題を抱えている(と私にはみえる)発表が目立つような気がします。

 発表した人は、授業で出てきた論点や改良点や単語集やらを、きっちりファイルにして保存してください。学期の終わりに、改めてその修正したものを提出してもらいます。


 写真はベネトンF1.  U氏の作品。