大山正先生をお迎えして

marumo552007-05-31

 大山正先生が立命で講義をしてくださいました。研究論文の書き方について、懇切にかつ本質的なお話をいただきました。
 起(序論)承(方法)転(結果)結(考察)の順番どおり書くのではなく、承(方法)を書いて、転(結果)をみてから「起」を書いたほうがいい、結果が予想どおりなら実験する必要ないよ、結果と考察まぜるなよ、担当の先生に読ませるんじゃなくて社会に向けて書くんだよ、といった技術的な問題から論文の本質的意味にわたった先生のお話は、学生諸君にとってきわめて有意義なものであったと思います。
 
 査読者とのやりとりの話も、これから論文を書こうとする人にはぜひとも知っておいてもらいたいものです。ふだんは仲間でも査読者と投稿者という関係の中では、ともかく査読者が神様になるという、論文投稿という楽しい「ゲーム」のお約束などは、ともするとベテランでも忘れがち。人間研の紀要も最近、外部査読者に依頼してチェックしてもらってますが、最近、投稿者の中に「ここまで厳しく言われる筋はない」などと編集部と査読者あてにクレームつけてくる人がいます。ボランティアで(うちは最近有料でお願いしてますけど)厳しく細かくチェックしてくれるのは大変ありがたい話なんで、「あなたはこれが学術誌の最初の投稿か?」などと思わずコメントしています。
 
 大山先生の百数十本の論文の中で、書き直しのチェックのなかった論文はただの1本しかなかったというお話が、一番むねに染みましたね。大山先生でさえそうなんだ、という事実は、論文投稿行動をおおいに勇気付けてくれます。(ここで強化とかいう言葉をわたくしが使わないのは、行動分析の「隠語」とかまた大山先生に言われるから)。

 久しぶりに(!)、予算獲得のための書類ではなく、英文の論文を書くことにします。(宣言)

 大山先生ありがとうございました。高校のときにスキーを教わったのと、院生のときに某K大で最新トピックスの特別講義をうけたのと、今回は実はまだ3回目の講義でしたが、一番、有意義なものでございました。