研究倫理

marumo552007-06-04

 6月4日(月曜日)、応用人間科学研究科M1「対人援助学」演習(だったかな?)研究法シリーズの第一回目として、「対人援助の実践と報告に関する研究倫理」というタイトルで講義をおこないました。
 ここでの内容は、昨年度に研究所公開研究会の「コミュニケーションとしての研究の倫理」(オープンリサーチセンター・シリーズ5巻)
http://www.human.ritsumei.ac.jp/hsrc/resource/series/05/open_reseach05.html
の内容とも重複しますが、今回はとくに、これから研究を行う院生諸君にターゲットを絞って話をしました。月曜日の発表資料は以下のリンクで・・・
 http://www.ritsumei.ac.jp/kic/~mochi/researchethics.ppt

 「研究者の好きなようにさせておくと、研究対象者の権利や利益が侵害される」という図式が、研究倫理を考える文脈として暗黙のうちに使われています。もちろん、研究者として履行すべきルールが厳然として存在しますが、それだけではなく(あるいはそれ以前に)、研究者と研究対象者の利益相反があたかもトレードオフのような関係にあるとする文脈ではなく、その両者にとって双方ともに利益・権利が拡大するような研究のありかたとはどんなものか、ということを考える必要があります。
 罰や負の強化で「非倫理的行動」を抑えるのではなく、正の強化で「倫理的行動」としての研究行動を促進するにはどうしたらよいか、という風に考えることはできないか。そういう趣旨で講義はおこなわれました。後半の倫理問題の事例については、必ずしも回答があるわけではありません。考え続けその課題をクリアするために行動しつづけるしかないのです。
 コンプライアンスのみではなく、「攻めの倫理」あるいは「攻めの研究」といった観点が、対人援助に限らずあらゆる社会行動に関する研究には必要だと思われます。


 写真は立命館キャンパス昼休みのフラメンコ