「ひきこもり」に関する公開研究会(次回日程変更)あり

marumo552007-12-12

 「ひきこもり」に関する研究では、当事者に直接アクセスすることは事の性質上、なかなか難しいこともあり、実証的研究はあまりありません。「生」の現場でなにが起こっているかについては、当事者のそばにいる家族から聴き取るしかないというのが現状です。
 親御さんたちは、家の中でひきこもる子どものについて、否応もなくその直近に存在する構成者であることから、その状態を維持している環境設定のひとつである可能性はあります。もちろん、そうだとしても、親御さんが子どもの「ひきこもり」の原因であるとか、そうなってしまった(しまっている)「責任がある」というわけでもありません。
 当事者に一番近いところにいる親御さんの役割は、責任者であるからというわけではなく、他の様々な、生きがたさを抱える当事者の家族と同様のものであり、それ以上のものではありません。しかし上記のように、社会と当事者をつなぐ(多くの場合は)唯一の存在として、この状況からの脱却をはかるキーパーソンであることに違いはありません。
 自らの家族のことを、その当事者のひとりでいながら冷静に対応していくという事は、心理的にも、対社会的にも、さまざまな難しさが伴うことになります。そうした難しい状況の中で、「負の強化」ではなく「正の強化」で、家族の脱ひきこもり作業を行っていくにはどうしたらよいのか。家族のそうしたプロアクティブな活動を、家族の成員として自らどのように力づけることができるのか、また周囲はどのように支援したらいいのか。

 ファーストステップ・ジョブグループ(FSJG)は、そうした関係性の中で、どのように有効な方法をとることができるかについて、実践面でも理論面でも一貫したポリシーと方針を持った、数少ない「脱ひきこもりグループ」だと考えられます。

 これまでも自らの活動を客観的に評価していくための公開研究会を開いてきましたが、今回は、特に若い学生さんを主な対象として「勉強会」のかたちで、このグループの活動の総括と、みずからの振り返りを行うと、以下の企画がたてられました。ここで親御さんが学生むけに現状の分析や報告を行うというのは、これまで「専門家」や同じ親御さんたちに語るのとは異なる、何か新しい機能を持つことが期待されます。

 関心のある学生・院生の諸君は、是非参加してください。
問い合わせは、FAJGのHPから主催者の上田陽子さんあてに直接されても結構ですし、このブログのコメント欄や、私への直接メイルでもかまいません。場所の詳細などについてはまた発表しますが、現在決まったことだけ、とりあえず以下に書きます。


 
 


 「脱ひきこもり支援」勉強会
「ひきこもり」に対する行動分析学的対応の勉強会です。

第1回テーマ「ひきこもりを理解する」
「ひきこもり」に関して様々な議論や活動が展開され、様々な情報が溢れています。
そのなかで当事者はどのようであるかを当事者親が話します。

日時:2007年12月21日(金)午後6時〜8時
場所:創思館(予定・詳細は後日)
報告者 上田陽子(立命館大学人間科学研究所客員研究員)
    高木千佳子(FSJG・当事者親)
主催:FSJG・立命館大学人間科学研究所 ?
参加無料:関心のある方はお越しください。当日の参加も可能ですが、あらかじめ連絡もしていただければ、準備をしやすいので宜しく。立命館大学以外の方でもかまいません。


 第2回予定
日:2008年1月11日(火)
テーマ「ひきこもりを取り巻く状況を知る」


なお、このブログに過去のFSJGの様子や資料のDLのリンク先もありますので、
この日記の検索に「FSJG]あるいは「ファーストステップ・ジョブグループ」「ひきこもり」といったキーワードを入力してください。