障害のある生徒の雇用促進に関する企業向けセミナー

marumo552008-02-15

 2月15日の午後、「障害のある生徒の雇用促進に関する企業向けセミナー」が、京都大学芝蘭会館で開かれました。主催は、京都市総合支援学校デュアルシステム推進ネットワーク、京都市総合支援学校長会、京都教育委員会、そして白河総合支援校です。

 デュアルシステムは、白河・鳴滝の両総合支援学校の生徒が、京都市の主要な企業で、長期にわたってインターンシップを行うシステムです。
 デュアルシステムは、学校での学習と企業での実習という2つの状況の中で、生徒の「キャリアアップ」(これはわれわれ流の表現ですが)を相互にはかろうという京都独自の試みで、3年間施行されてきました。今回のセミナーは、その成果と課題を学校と企業の双方から発表していくことが目的でした。
 前半に学校からの報告、後半ではこのシステムの発足と運営に深く関わった企業と学校の関係者によるパネルディスカッションとなりました。わたくしも、実はデュアルには関わってこなかったんですが、「コーディネーター」として司会をさせていただきました。

 ということで、「雇われ司会」に近かったんですが、昨年から準備のために出席者の方々(京都経営者協会専務理事の向井仲和美さん、堀場製作所人事教育部長の野崎治子さん、そして前から知り合いの坂東敏和さんと白河の森脇校長)と打ち合わせを2回してきました。そこで、前から気になってたんですけど、お呼びが全然かからなかったデュアルについても勉強しました(お呼びがかからなかったことについては、森脇校長のこの日の発言によるとそんな余裕はなかったと。ま確かに私が校長でも私を呼ばなかったと思います。ウルサイから)。にわか勉強で臨んだとはいえ、当ブログでも再三紹介してきた「京都の個別の包括支援プラン」との関連もあり、今回のパネルディスカッションは、総合支援校の生徒の就労支援について、わたくし自身、今年度を総括する機会ともさせていただいた次第。今年度、各総合支援学校の先生も多数参加した前期の「教職GP」、そしてこの数年の「学生ジョブコーチ」の活動、そのいずれについても、最もクリティカルな課題として浮かび上がったものは、さまざまなセクターの連携や協働を実現するための「情報移行」を保障する(はずの)システムである京都市の「個別の包括支援プラン」の機能的運用のためのカイゼンです。

 パネルディスカッションの向井仲さんの発表は、企業体全体が障害者就労に関してどのような状況にあり、また今後どのように進展するかというお話でした。野崎さんは、堀場製作所でのデュアルシステムの実施における成果とそこでみえてきた課題提起でした。「雇用受け入れ」というよりも、より積極的な障害者個人の「キャリアアップ」に必要な、支援方法に関する情報の必要性、さらにはそれを前提とした企業の連合体的な受け入れ体制の可能性といった、きわめて具体的なもので、さすがは企業の方です。私、しびれました。さすが堀場製作所。そこで問題になっていた課題は、まさに「個別の包括支援プラン」(白河では「キャリアプラン」という)の本来の運用と、少しのカイゼンで乗り越えられるはずのものです。

 もちろん堀場製作所以外にも沢山の企業が参加しているこのシステム、それぞれに、企業の視点からの総括があったはず。PDCAサイクルでいえば、とかく学校ではPDで終わりですが、CAの部分をみたすべく、各企業から示された可能性と課題、そして今回のセミナーで提出された企業さんからの提言課題について、学校がどのように応えていくかのか、今後が注目です。