実験とは?

marumo552008-07-16

 障害のある個人と研究者が支援の方法を検討する場をなぜ「実験室」などと言うのでしょうか・・・。言葉尻をいちいちとらえたくありませんが、ちょっといい気持ちがしません。また、その中で具体的にどのような仕事をするのでしょうか。

 コミュニケーションペーパーに以上のようなコメントを書いてくれた人がいました。ここまでの授業を聴いていた上での質問だとすると、ちょっと心配になる内容ですが、ここはひとつ復習します。
 従来、構造的な環境(独立変数が統制されている)で、必要な行動を学習する場を、「訓練室」という表現を使ったこともあります。いわゆるマンドの獲得に関しては、一時、なるべく日常環境に近い場面でその訓練を行ったほうがよいという意味で、「機会利用型学習法」というものが提唱されたことがあります。
 「日常場面に近い」というのは、含まれる環境刺激が共通しているといったものもあります。日常にあるものを「訓練室」にとりこむことで、ひとつには効率的に行動獲得やその般化が促進されることもあるでしょう。その方向での変数の調整を目的にした「場」をパッシブシミュレーションと呼びました。
 一方、日常にはないものを「訓練室」の中で見出し、必要なものを日常環境の中に設定していく調整のための「場」と考えることをアクティブシミュレーションとして区別しました。
 「実験室」としたのは、この「場」を、必要な環境刺激を探索するために様々な変数を「援助者」の側が試してみるという意味で、実験室なのです。前に、日常場面での訓練が一般的という風潮の中では、「訓練室」ということばをわざと使って、同じ主張をしたことがあります。「訓練室の復権」といった表現をしています。

     http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/fukushijissen.pdf

 上記の論文でも、「訓練室」より、いっそ「実験室」と言ってしまえばよかった。まだアクティブシミュレーションとかパッシブシムレーションとかの概念が出来立てだった時期だもんで・・・