行動分析学特論レポート(その2)

marumo552008-07-30

 行動分析学特論のある人のレポートから、「治験コーディネータ」という職業があるということと、患者の権利擁護(アドボケート)を担保するための「モラル・スペース」という設定があることを知りました。

 モラル・スペースというのは看護の世界で使われている概念のようですが、まさに「公正交換指標」の機能と同じものですね。公正交換指標というのは、それがあるときには自己決定的な行動が可能なひとつの「援助設定」であり、わたくしの授業の中でも紹介したように、ときに否定選択肢つきメニューであったり、選択肢時の「お金」であったりします。
 モラル・スペースとは、患者を取り巻く職業的援助者の行動に非擁護的なある種の社会的随伴性が存在する環境の中で、その空間だけシェルターのように公正な議論と検討が可能にしてしまうような設定を作るといった意味だと思います。

 精神論や原則論を言語行動として自発することはできても、実際の行動は、実践現場の即時的随伴性の前にたやすく曲げられてしまう現実の中で、それに対抗するには、そうした設定を医療現場に創ることが必要である、というのがレポートの趣旨であり実践研究の目標でした。

 「公正交換指標」の場合も同様ですが、その設定の機能を担保するためには、その設定を維持する行動に対しての随伴性も必要です。端的にいえば、それは、そこで起きていることの表現と公表を強化するということだと思います。倫理委員会同様にね。


 写真は、雨でびしょびしょになった銀レガ号を乾かしているところ。