応用行動分析は「です」「ます」調?

marumo552008-09-05

 本日も、集中講義で京都にきている藤原Yocchan義博先生と晩ご飯。予約を入れてくれたK総合のI先生より30分も早く現地到着。
ビールを飲みながら藤原先生いわく。「最近、である調ではなく、です・ます調で文章を書きたくなっちゃう」とのこと。これって、すごくわかります。
 実は、現在、某K大学のS先生と行動分析学のテキストを書いているんですけど(いつできるやら)、その打ち合わせのときに、「ぼく(marumo)は、です・ます調で書きたいんだけど」と提案したんですよね。しかし、基礎系(実験系)のS先生は、ここはかっちり「である」で行きたいと。ま、じゃいいか、となって「である」でいくことになったんですけど、今回の藤原先生の発言との共通性を考えてみると、応用系の人間が「です・ます」を選びたくなるのかな。それはなぜか?
 
 応用系の人間は、ま、たぶん基礎系の人よりも、普段から実践現場などで多種多様な人の前で「しゃべる」機会が多いので、書きモードにおいても、慣れ親しんだ話し言葉に近い形態のほうが表現しやすいという解釈もあると思います。しかし、単に「話しことば」に近い形だからというのではなく、もう少し機能的な意味があるようにも思います。昨日の日記にも書いたように、「実践と表現」に関わることです。
 
 応用行動分析は、再三ブログその他でも示しているように、ある行動が成立するための環境条件(特別支援でいえば「手だて」かな)を分析的に同定し、そしてそれで仕事は終わるわけではなく、それを関係する他者に伝え、その条件の持続を実現してこそ機能を果たすものです。これは対人援助学の文脈でいえば、援助−援護−教授の連環の中で、「援護」という不可欠な機能にあたるものです。つまり、対象者の状態像をピンで留めてそれをタクト(記述言語行動)するというのではなく、周囲に向けてマンド(要求言語行動)することに他なりません。

 いわゆる「認識の科学」のひとつとして行動分析学をとらえれば、それはタクトとして表現すればよいわけですから、「である」のほうが明確と言えるかもしれません。あるいは、権威筋のトップダウンな状況があった時代には「である」でも機能的であったのかもしれません。しかし、平均値人間ではなく、他ならぬ固有名詞的対象者が現実に生活を続ける日常において、必要な環境設定を整え維持していく環境成員に、そのことを要請していく(マンドしていく)際には、やっぱり「お願いするものである」ではなく「お願いします」ですよね。

 芸能界で、夜中でも挨拶は「おはようございます」というのはなぜか。それは芸能界は夜中から始まる仕事が多いという解釈もありますが、「おはようございます」「こんにちわ」「こんばんわ」の主要三挨拶のなかで、「おはようございます」だけが「ございます」という丁寧語表現が可能であり、おっかない先輩たちに夜中でも筋を通すにはこれしかないからだ、という解釈があります。藤原先生やぼくのように、応用(行動分析)系の人間が「です・ます」を使いたくなるというのと相通じるものがあるのではないでしょうか(ちょっと無理目かな?)

 
 と、そのようなアカデミックな話を藤原先生と、ずっとしていたかというと実は5%くらいで、残りの95パーセントはミュージック系の話で盛り上がってました。へえ、エリック・クラプトンが好きなんだ。わたくし、この数年、CKBのクレイジーファンだったんですが(のっさんのピックも持ってるし)、実は最近、遅れてきたクラプトンファンです。藤原先生は、けっこう大昔からクラプトンファンでライブもずいぶん通ったそうな。クリームとかそういう時代からのアルバムもほとんど持っているそうです。へえ負けた。でも、わたくしめも、DVD大人買いで、ライブの映像音源の多くを持ってますし、「エリッククラプトン自伝」もとっくに読んでもうオークションで売っちゃったくらいです。

 写真は、現時点で持っているクラプトンのDVDでわたくしが最高だと思っているアルバム。「This song for George」です。2001年のJAPANツアー武道館の録画。って、NHKスペシャルそのまんまDVDしたもので画面に常にBS2とか表示されてますけど。サイドメンたちのプレイも、ちょっとぞくっとするほどのものがあります。とくにキーボード、最後のSomewhere over the Rainbowのソロの部分はすごい!(このDVD、いまアマゾンで1050円って低価格で買えるんだ!!!)
  ちなみに、スティーブ・ガット(ドラム)も、昔、エリック・クラプトンの名前さえ知らなかったころに(もう30年くらい前かなあ)「ガット・ギャング」のアルバムを聞いて、こりゃ最高のジャズ・ブルースをやる人だなって思ってたくらいです。クラプトンの専属ドラムみたいですよねえ。そのことは、クラプトンのアルバムで最初に買った2007年「クロスロード」のDVDではじめて知ったんですけど。