スタッフの「人間力」を高めるための研修

marumo552008-10-26

 きょうと福祉ネットワーク「一期一会」主催による表記の研修をさせてもらいました。
京都にきて10年、研修といえば、特別支援学校に関わるものがほとんどで、久しぶりに、福祉関係のスタッフのみなさんの前で話しができました。

 言うまでもなく、現在、福祉現場は大変な状況です。そうした中でどのように「スタッフが元気を出せるか」ということについて、参加したみなさんにも「自分の仕事を勇気づける」方法を中心に、他ならぬ京都というこの地において実践的な方法を探る、ということをミッションとした作業を行ったつもりです。
 
 理念や制度を理解すれば元気に仕事ができるわけではありません。また、職場の心身の疲れをどのようにとることができるか、といったネガティブで受け身な話をしても元気はでません。疲れがとれるのと元気が出るのとは違うと思うんですよね。
 プロの対人援助職として、福祉の現場で働くことそれ自体が楽しくなる、それゆえに、さらに良い仕事ができる、という好循環を生むには、どんな事をすればいいのか、という、あくまで「ど真ん中の話」をさせてもらいました。(つもりです)

 特別支援教育の現場同様、ここでも単に「体を使って実践していればいい」というのではなく、「自分の仕事を『表現する』こと」が大切であり、そのことを通じて当事者からも仲間からも励まされ、仕事にさらなる意欲が湧くように自分を持っていく、そういう力を「人間力」というふうにとらえて話をさせてもらいました。

 福祉施設でも「個別の支援計画」というものを作成することが求められています。この世界でもご多分にもれず、うっかりすると、監査の前にあわてて記入する、といった実態も一部ではあるようですが、ここでは、この「個別の支援計画」というものを、逆に、スタッフが元気になるための「表現の道具」として使っていけないか、という話をしました。あんまり具体的に支援計画の内容には踏み込めませんでしたけど。

 「元気になる」とは、自分の仕事が、当事者や仕事仲間、さらに社会から評価されること、というのがまず挙げられます。そして、なぜ評価されるか、ということを考えたとき、それは、「当事者(利用者)の『できる』を創造する優れた仕事だった」ということだと思います。
 はたからみてる第三者から評価されるという場合もありますが、今日、わたくしが言いたかったのは、その仕事の報告(どうやったら『できる』が成り立ったかを文書で表現したもの)によって、仕事を引き継いた次の人、そのさらに次の人にも、「よし、自分も、これやってみよう」と実践が継続、展開できたときに、ほんとうに評価されたことになるんじゃないか、というのがポイントです。ここで大切なのは、それを見て継続したくなるような報告内容(表現)なのです。
 
 コミュニケーションシートに、「元気になる」方法として、「仕事を実験の場として考えるようにしている」という意見を書いてくれた「じゅかんさん」(ハンドルネイム)って、もしかして私のゼミの卒業生だっけ? いい方法ですよねえ。「こんなのやったらどうなるだろう。うふふ」というのが、対人援助学あるいは応用行動分析の姿勢だと思います。実践の報告会を地域で開いてコンテスト形式で賞金もらえるようにする、という意見も出されてましたよね。これもなかなかなかいいですよね。来年からやれないかなIkuchan。で、じゅかんさんが実行委員ね。自分で応募してもよいことにしましょう。
 
 ほんとに久しぶりで、かつ、受講生のみなさんとは初対面ということもあって、相場感がない状態(アセスメントなし)での介入に似た今日の研修だったんですけど、「一期一会」とは「ここで会ったが百年目」とほぼ同じ意味です(違うような気もします)、これを期に、連帯と連携を実践的にすすめたいと願っています。
 さらなる総括は、また後日。

 本日の配布資料は、以下のリンクからダウンロードできます。

パワーポイント版: http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/ningenryoku.ppt
PDF版:http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/ningenryoku.pdf