バリフリ心の復習

marumo552008-12-05

 今日のバリフリ心の復習のかわりに、アッコ様の質問に応えてみます。

A→A,A←Aは反射律、A→B,B→Aは対称律、そして、A→B,B→CならA→Cという推移律、更に、この3つがあって初めて等価律が言えるようになるのでしょうか?

 「等価律とは反射律、対称律、推移律の3つが成立する場合に初めて成立する」という一種の定義と考えてください。行動としては、前項が条件刺激(見本刺激)、後項が弁別刺激(選択刺激)の条件性弁別課題として表現することができます。そして、この3つを全部調べなくても、「A→B、B→C、を学習したらC→Aもできた」という場合には、一番簡便にABC間の等価律が成立しているといえるわけです。

A→B, B→C, A→CならC→Aこれが等価律なのでしょうか? 

「A→Cなら」っていうのが余分です。

あと、実験でB→A,C→Aを訓練して、あとは派生を待つと言うことでしたが、派生の中でも、対称律が出るか推移律が出てくるかは人によって違いますよね。


 確かに人によっても刺激によっても色々である可能性はありますが、ヒトの場合には一般的には、対称律も推移律も成立します。
しかし、今回紹介した研究では、そもそもA(味覚刺激)→B(文字)、という条件性弁別それ自体が当初は全然学習ができなかった、というものです。対称律も推移律どこじゃないという事です。そういう事もあるわけです。その理由はわかりません。できなかったのです。ところが「迂回路」を経てできた(たとえば、A→C、C→Bをやったら最初直接学習ではできなかったA→Bができた)というのは、推移律が成立したからこそということです。

 なので、今日の実験は一人一人にあった方法を工夫して作り、その人のペースで行うので、私が今奮闘している基礎実験のように、始めから決まった方法や型にはまった手続きを取る実験とは違う面が見られたのでおもしろかったです。

 「かれいしゅ」と聞いて、加齢臭としか思いつかない人間もいれば、エルメスの常番だとすぐ思う人間もいるように、人はそれぞれの「意味世界」(刺激や反応の関係のネットワーク)を持っているわけです。そういう差の上に新たな概念とかを作るわけですから、あらかじめ答えはないわけです。そういう個人差のなるべくない一般法則を対象にした心理学もあれば、そういう差を前提とした心理学もあるわけです。行動分析学の刺激等価性、応用行動分析の中の刺激等価手続きなどというものは、それでも例外的に「理論」と呼べるような一般法則を念頭に研究を行う例なんだと思いますけどね。


 
…ただ、人の数だけ実験の内容が変わってくるので、やる方としては大変だろうなぁと思いました。でも、苦労した分だけ、達成感はとてもあると思います。また、いろいろな先生の実験エピソードを聞かせて下さい。

 目の前にいる人はただ一人です。だからそう大変ではありません。理論や仮説に沿った答えが目の前の人にも出ないとダメと考えると、そりゃ大変。


 今日は、お誕生日でした。ああとうとう48歳になっちゃった(嘘)。バースデーケーキを作ってくれたSさんありがとう。やはり今日、お誕生日だったお隣の研究室のY先生もお裾分けケーキありがとうございます。ちなみにその隣のT先生は12月4日が誕生日だとか。射手座ユニオン。暴君ハバネロ・魔王ジョロキアをくれたY君、Mutto先生経由で、お誕生ポッキーくれた人ありがとうございます。みんなありがとう。