2008年の総括(1)

marumo552008-12-31


 年末、第二回、卒論提出祝の打ち上げ会も、さっぱり4回生がこなくて、結局、院生の持ってきてくれたケーキや焼いてくれたクッキーと、北京亭の出前の中華で、お疲れ様会に。
 卒論って、それを完成するまでにどれだけ他人様の苦労が入っているのか、わからない段階なのかな。運転免許もってないうちって、F1ドライバーの横に乗せても偉大さがわからんのと同じか(ちがうか?)。
 
 あ。もちろん、ほとんどインデペンデントに計画から書き上げまでをやりとげている学生もいるんですが。

 2008年も、学生ジョブコーチを中心に実践研究をまわしてきたわけですが、これまで総合支援学校だの企業だの福祉行政だのの不備や「意外性」に文句たれてきたわけですが、ま、しかし、一貫した大問題は、学生を現場で邪魔にならないように、願わくばお役にたてる程度にするには、どういう教育を打つか、ということですね。

 2004年ごろに学生ジョブコーチを始めた黎明期(?)には、この研究をしたくて始めたという院生や、それまで他の実践現場ですでに苦労したり経験をつんだ学生や、そもそもプロのジョブコーチだった院生もいたし、という恵まれた条件だったので、なんとかなってたんですが、最近は状況の変化ありです。

 このあたりのことは、特殊教育学会の夜、飲み屋で、どっかのよその地域の教員の人が、「特別支援教育は応用行動分析に席巻されているが、これでいいのか」とか言っている、思わず耳だんぼのグチを聴いての感想(これは検索で「特殊教育学会」をひいてみてください)から、如実に感じつつあることです。
 論文の「方法」に書かれるべき内容としては、それを見ただけで追試ができるということがよく言われることですが、実験室ではない、実践現場にあって、最終的に論文などで図表に示されることになる独立変数と従属変数のみについて、ほんとうに、かたくなにそれだけをいじっていれば実践が成り立つという、(本当はそれが理想だけど、とてもそれはムリな)想定で、初心者たる学生は研究がなりたつと思ってないか。それで学生ジョブコーチは成立すると思ってないか。

 も、それ以外の要因(苦労・努力)って、発想もできなくて、っていうより、色々な社会的変数がずんずん実際には起こっているのに、対処できない、っていうより、そもそも全然みえていないんじゃないかとさえ思えます。

 今年は、特に、実習ではなく、就労している支援学校卒業生や、トラブルケースへの依頼を受けての支援、あるいはマイクロ施設とナノ企業との連携の上での成人の人に対する支援といった、完璧、賃金やコストを勘定に入れなければならないという、わくわくする場面が多かったのですが、はっきりいって学生にはまだムリだったな。

 要するに2008年のキャリアアップは、そうした実践場面に出くわした学生ジョブコーチが、いよいよ、どのようにその役割を果たすためのプログラムをこなしておく必要があるかを明示したところですね。

 場数を踏まないとわからないものもあるが、それくらい予想できんのか、こらNIU! といった相変わらずのシーンも年末まで続きましたが、ま、自分のことを振り返ってみれば、「場」にさえさらされずにいたものですからね。

 来年は、ジョブ系の実践についての組織行動分析をやりたいという院生も複数いますが、その中で、学生あるいは大学がユニークなセクターとして参加しえるものなのか、そしてその前提となる力とは何なのか、正念場を迎えることになりますね。

 京都の福祉施設の関係者のみなさま、年末にお送りした郵送アンケートの返信封筒の切手代金が、わずかに足らずご迷惑かけました。すでに不足切手は郵送させていただいております。お忙しい中、まったくもって申し訳ありません。