バリアフリー心理学:試験講評(その2)

marumo552009-02-07

 試験講評の第2弾。以下の問題3と4についてコメントします。

3. 携帯電話の各種機能を用いたコミュニケーションとFAXを用いたコミュニケーションの相違点をそれぞれのモードの特徴や社会的機能の点から説明してください(800字以内)。
4. 携帯電話を学習する際に、聴覚障害のある人に、「着信に気づく」ように学習してもらうには、どのような方法が有効でしょうか。行動の「機能」という側面に注目して回答してください。(800字以内)

 この2つの問題を選択した人も多かったですね。常識でチャレンジした人、ごくろうさま。授業中に配った、各メディアの比較図を再現してくれた人もいました。ごくろうさま。
 これらの問題に関連する資料は、http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/08BF2.pdf にあります。なお「対人援助学のすすめ」(学研連載)の特集では、http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/taijin8.pdfと http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/taijin9.pdfhttp://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/taijin10.pdf にあります。前記の授業資料とあわせて読むと、応用行動分析学あるいは対人援助学の何たるかがわかるはずです(?)。


 3.の問題については、携帯電話の「テレビ電話機能」では、即時性の揮発モードでありつつ「書字」(自分で書いたものを携帯で撮影しつつテレビ中継する)というのもあるのがミソです。この携帯テレビの書字撮影送信についての実際の研究については、飯田ら(2006) http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/hs/hs/publication/files/ningen_11/11_093-103.pdf を参照のこと。カナ入力が難しい場合(太田ら:2006)(http://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/hs/hs/publication/files/ningen_11/11_085-091.pdf)でも、他人の文字を書き写して送信するというFAXモードで固有と思われていたものも、実は携帯でも可能ということです。このことに、きちんと触れた人は満点。


 4.の「着信に気づく」には、着信バイブが、「携帯をあけて見る」という行動の弁別刺激になる必要があります。「気づく」ためには先行刺激としてのバイブ振動を大きくするとか、ライトがつくようにするとかいうアイデアもありますが、それは「行動の原理」を知らない人の「常識」です。そうではなくて、「携帯をあけてみる」行動に強化を随伴させて、先行刺激を機能化するという操作が必要なのです。「先行刺激の強調」ばかり書いた人は、授業出てなかったな。後続刺激の配置(随伴性)による学習を強調した人は満点。



 写真は、事務からの「答案封筒」に同封されていた注意書き。ユルキャラがいいよなあ。なごむ。実際に担当と対面すると死ぬほど怖いんだけどなあ。