対人援助学会シンポの概要そろいました。

marumo552009-10-29

11月7日の対人援助学会のシンポジウムの概要もだいたい出揃ってきましたので、HP(以下のアドレス)から見てください。http://www.humanservices.jp/
 バリアフリーの授業に出ている諸君、応用行動分析など、対人援助に関わる授業に出ていた学生・院生諸君も是非参加してください。翌日の「対人援助フォーラム」も含めてヒューマンサービスの最前線について参考になると思います。
 対人援助学会は進化する学会です。会員や参加者がデザインやマネジメントにも積極的に提案できる仕組みをつくりたいと思います。今から20年ほど前でしたか、特殊教育学会で加藤哲文先生(現上越教育大学教授)が代表で「学会を10倍楽しむ方法」というタイトルのシンポジウムをやりましたが、あのときのアイディアや理念を実践していきたいと思います。CiNeeで探したけどないな。

 バリアフリーの心理学では、現在、携帯電話の研究について紹介していますが、「実験」ということ(実際に使ってみる)の意味が理解できると思います。今回紹介した、携帯メイルで「おつかい」をしてもらう実践的研究では、当初、研究者側は「ろう重複」の障害のある生徒の遠隔コミュニケーション成立のためのTCM(トータル・コミュニケーション・マシン)として携帯の使用を意図していました。TCMという意味は、一般聴者が「口話」で携帯電話を使うように、「文字」(メイル)を使ってやりとりができないか、つまり口話の「代替」としての文字メイルの使用という枠組みで検討していたものです。
 ですから対象者の人がシミュレーションの途中ごろから、こちらがメイルしても、すぐに開封してくれなくなった時には、練習不足? とか、先行刺激(バイブ)に慣れてしまった? などの的外れな課題対策をしてしまったのです。すべて、こちらの都合で、メイル(文字)で口話がわりのコミュニケーションができないか、あるいはメイルを筆談と同様のものと捉えていたということがあります。
 しかし、対象者の人の「行動は全て正しい」ものでした。メイルという、そもそも不揮発な、発信人(話者)の特定さえ備忘録として残るメディアを使用して、「おつかい」をしているわけですから(しかも、おつかいのメイルしか来ないことがわかっている)、なにも移動中にわざわざ着信しなくても良いわけです。店に着いてから、まとめて情報を集約して、買い物に臨むほうが、ずっと合理的であるわけです。
 
  気がつけば当たり前のことなのですが、その人の使える表現・理解モードを、われわれのものと置き換えてバリアフリーをはかる、という単純な事態などはそうそう無いのかも知れません。その使用モードに固有の機能性というものがあり、利用する人の行動はその機能(随伴性)に従ったものとなるのです。敷衍していえば、表現モードがかわればそれの持つ特有な文化も生まれる可能性があるわけです。