お客さま

marumo552010-05-29

 昨日28日金曜日、応用人間科学研究科第一期生のN君と、わたくしの古巣の愛知県心身障害者コロニーのKさんが創思館のプロジェクトルームを訪問してくれました。Kさんは、コロニーから異動する直前の年に、ちょっと関わった「強度行動障害」の某君に対するプロアクティブな継続的対応で、O氏などと共に、それ以降、長きにわたって行動分析学会で実践報告を続けられている方です。

 ふたりとも、福祉施設において新人を育成する「若手管理職」の側に立つようになったんですね。最近、こちらで言うところの「キャリア・アップ」の実現に向けて様々、実践をされていて、今回も、短時間ですがその様子を、学生ジョブコーチの面々と一緒に聞かせてもらいました。
 
 N君のほうは、業務チェックシートといった職員の側の課題分析表にあたるものを作成しての業務の可視化の試みを紹介してくれました。その業務表に「空白」部分があり、新たな項目を新人職員がどのように積極的に書き込んでいくかが見所なんですね。この空白部分は、従来のルーティーン作業に加えて新しい仕事ということになり、それだけを考えると仕事が増えるということになるわけですが、それでもこれを書き込む行動が自発され、それによって職員の職務行動が強化されていくような随伴性を、N君がどうこれから設定していけるかが注目点ですね。

 一方、Kさんは、新人職員に対するプロアクティブな業務提案を促進すべく、新人のトレイナーにあたる職員と新人とのあいだのコミュニケーション・シートを設定し、それを同じグループのメンバーと共有するという仕組みを設定され、その新人の提案行動をバックアップしようというもの。この実践は、かつてKさんたちが行った、施設利用者の行動的QOL拡大(=プロアクティブ)な実践を遂行するにあたり、その過程での「情報共有」「関係者のコミュニケーション」の促進をひとつの変数として検討してきた、あの流れですね。
 初期の頃の実践の経過は、立命館大学人間科学研究所「人間科学研究」の第二巻の特集号「ヒューマンサービス(対人援助)の科学の生成」にゲスト・ライターとして投稿してもらったもの:
 http://www.ritsumeihuman.com/publication/files/NINGEN_2/02_085-102.pdf
http://www.ritsumeihuman.com/publication/files/NINGEN_2/02_103-120.pdf

 それ以降の経過は、在学生諸君は、CiNii にキーワードとして「行動分析、QOL」と入れると、Kさんらのグループによる長期にわたっての「行動障害」に対する、プロアクティブな対応の経過をみることができます。

 写真は、京都某市の駐車場にいた1/1フェラーリのエンジン。