京都府専門研修(復習)

marumo552010-08-04

 京都府研修の続き。研修の最後にいくつか質問をいただきました。第一は、課題分析、ABC分析、機能分析のあたりの詳細についてのご質問。

 一般に、課題分析とは、「複雑な行動(課題)」を目の前の当事者に対して「支援をしやすい」小さい行動の単位の連鎖として分けることです。
そして、そのような単位に分けた行動のユニットそれぞれにプロンプト(先行刺激のヒントや反応の形そのものに直接身体的に手助けする、など)を加えて成立させ、当該の全体課題の最終的な結果(強化)を受けられるようにする操作を全課題提示法と呼んだりします。
課題分析の行動ユニットの単位はどれくらい細かくするかは、対象となる学習者のその時点での、当該行動に対する完成度などによって変わります。荒いステップでも良い場合もあれば、当初考えていたステップをより細かくする必要が出る場合もあります。課題分析は同一の対象者でも刻々と変化してもよいのです(すべきなのです)。

 課題分析に基づいた教授場面において、ABC分析の観点が必要である、というのは、それぞれの行動ユニットに分ける場合に、単に機械的に細かくすればよい、というのではないということです。当該の対象者において、そのユニットを(プロンプト=支援つきでも)実行できた場合に、それによって全体課題の中のどのような(中間的であれ)結果が示されるのかをはっきりと明示し、またその結果があればこそ、それが次の行動ユニットの先行刺激になって先に進めるようにする、それがゆえにそのユニットの行動が強化されるという機能的な連鎖を確認しながら教授作業を進行させる必要があるのです。

 これまで、就労支援などのテキストを読むと、課題分析というと、細かい行動の連鎖に分けるということ、そして、それは対象者に合わせろ、という指示までは書いてあるのですが、ともすると上記したような機能的観点が強調されていないというのが、昨日の中鹿先生の注意点であったと思います。つまり「対象者に合わせる」というのは、より正確にいえば、上記のような各行動ユニットも機能(そのユニット行動の先行条件、ユニットの行動、その結果というABC)が、対象者の現状をみて、きちんと成立するようにステップを変えたり支援内容を調節せよということであろうと思います。
 これに関連した中鹿先生の論文は、以下にリンク
http://www.ritsumeihuman.com/publication/files/ningen20/p053-064.pdf

 中鹿先生! 補足してくださいなあ。