京都府専門研修(復習2)

marumo552010-08-05

 昨日の、課題分析、機能分析、ABC分析についての補足を中鹿先生がメイルで送ってくれたので転載します。

 以下転載内容----------------------

中鹿です。望月先生、詳細な補足をありがとうございます。先日の講習では学生ジョブコーチの実践を軸に話を構成したので、ABC分析、課題分析、機能分析をうまく関連付けて説明しきれなかったと反省しています。ぜひ受講された先生方にこの補足を読んでいただきたいです。
それでは上の説明(昨日の日記参照:もち)にさらに補足を試みます。
課題分析を行って作成したあるユニット行動がうまく働くことは次のことを意味します。AがあることによってBにあたる行動が生起し、その行動がCによって強化される。AによってBが生起する(厳密にはBが生起しやすくなる)現象を、専門的には刺激性制御(stimulus control)と呼びます。ではなぜこの刺激性制御が機能するかと言うと、CがBを強化するからです。しかし課題分析を用いた指導の初期には、Cによって強化されるような経験がほとんどないので、刺激性制御が働きようがありません。そこで指導者は「そうです」とか「よくできました」などの形でBを強化します。これによって、AのもとでのBの生起を強化して、Aの刺激性制御の力を増強することを行います。支援の現場では、A自体やAに加えるプロンプトについては”自覚的に”用いられさらには記録をとってきます(これが課題分析とともに示される記録となります)。その一方でBの後に支援者が提示する何らかの強化についてはあまり"自覚的に”使われてはいないようです。少なくともこういった強化について記録をとるようにはなってません。就労支援の教科書にもこのような強化が必要であることは記述されています。しかしこうした強化がどのような機能を持つのかについては、まったく触れられていませんし、記録をとることについても触れられていません。Bの後の何が実はCとして強化の機能を担っているのかを、検討することは重要となります。研修で紹介した本多(2007)と太田(2006)はともに、対象生徒の具体的な行動の後に発せられたジョブコーチや現場のスタッフの言葉かけが、実が強化の機能を持っていたことを明らかにしています。これらの研究からも支援者が行うCに関する操作を”自覚し”記録することが必要であることを示してます。後半は当日は触れなかった内容ですが。

                  • 以上が転載-------

というわけです。

なお、当日の私(望月)の資料をHPにアップしておきました。
http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~mochi/kyoutofu10.ppt