サービスとホスピタリティ(その2)

marumo552008-08-17

 北九州の松原先生から、前回(http://d.hatena.ne.jp/marumo55/20080802)の質問とコメントについて、さらにまた質問をいただいておりますので、またここに転載します。
それに対するわたくしの意見も、少し時間をおいてアップします。(以下、青文字が松原先生の質問)


 ご丁寧な指導、ありがとうございます。私の中で不明確であった部分のほとんどを整理することができました。先生にいただいたご指導をとおして新たな質問をさせていただきます。

(1) 最近の商いのサービスが、効率性を重視した「企業の利潤追求型」から有効性重視の「個客の満足度追求型」にシフトしているように思えます。いずれにしても、ホスピタリティを手段として、サービスを売る側のインパクトを顧客に与えリピーターを増やす、という戦略には変わりはないと思いますが、個客を主体として個客の満足度を満たす(その先には利潤追求があると思いますが。)サービスに価値を置こうとしているように思えます。
問題は、対人援助サービスにおいて、介護保険制度、障害者自立支援法指定管理者制度等の制度を背景に、その最終目標が(行動的QOLを含めた上ですが)被援助者を個客として利用者を増やす、いわゆる商いのサービスである利潤追求という経営的なミッションに否応なくシフトしているのが現状です。
 「商いのサービスの最終ミッションは、顧客の獲得と当該商品の継続的利用・・・・。一方、福祉等の対人援助職の最終ミッションは、・・・・行動的QOLの拡大です。」と述べられています。しかし、先に申し上げたように、対人援助サービスが商い化している状況において、被援助者のキャリアアップという行動変化によって援助者のサービス行動が強化されるという最もピュアな福祉の対人援助行動が、現状では被援助者の利用(購買)行動を強化することが重視されているために、結果的に援助者は被援助者をリピーターとすることを目的とした援助行動が強められているように思います。
先生は「手段や手続きへの感動を理由に、その援助者あるいは援助そのもののリピータ
ーになる、というのは健全な事態といえるでしょうか」と言われていますが、現状では健全ではない状態に進んでいると思います。この現状をどのように捉えればよいのでしょうか。

(2) 先生は「援助者のおかげで、できるようになったという気持ちは結果的に生じることがあっても、対人援助者がそれを強化として対人援助活動をすべきでないと思います。」と言われています。援助者の活動の目的が被援助者のキャリアアップにつながっているかどうかが重要なポイントであるとは思いますが、援助者の活動を強化する随伴生の一部に少なからず被援助者の?ありがとう?が含まれるため、「・・・・すべきでないと思います。」とは言い切れないと思うのですが・・・。

(3) 現状において不健全な対人援助活動が行われていると仮定しても、その行動が強化されているかと言えば、キツイ、キタナイ、ヤスイ労働環境という随伴生によって低下あるいは回避している(福祉離れ)状況にあります。不健全な援助行動においてすら強化されていない疲弊した援助者のサービス行動を高めるための操作可能な方法として、どのようにお考えでしょうか。

(4) 被援助者のキャリアアップを最終ミッションとする対人援助サービスについてご指導いただきました。この場合、「被援助者−援助者」の関係で捉えるのではなく、「被援助者−援助者− 事業主(組織)」の関係で考えた場合、援助者のミッション、援助者の行動を強化する随伴生が、先生の言われる「健全でない状態」も含めて考えざるを得ないと思うのです。
「社会的成員−被援助者−援助者」の関係で捉える対人援助学において、そこに「援助者−事業主」を含めた場合の援助行動の随伴生についてどのようにお考えでしょうか。また、対人援助学会においては、「対人援助職とその属する組織との関係」、また「勝ちの心理」との連携についてどのようにお考えでしょうか。
  
(5) 行動的QOLを「キャリアアップ」という言葉で表現をされていますが、「正の強化で保障された行動の選択肢の拡大」という表現と、「キャリアアップ」という言葉の間の意味の共通部分と相違(進化)部分について、またキャリアアップとそれを実現するための個別支援計画のあり方としての基本的な視点についてご指導を願いたします。

 わたくしの意見は少し時間をください。

あれ? ☆せんせい、こんなところに。