明日の応用行動分析の資料は先週のを使います

marumo552010-05-13

 というわけで新しい資料はありません。
 
Yさんから、第二回目の講義の設問の回答を送ってもらったので、公開添削。

? <実験の意味を、相関と因果という言葉を用いて述べる>
観察から、事象Aと事象Bに相関関係が示されても、事象Aと事象Bは因果関係にあるかはわからないので、原因となる事象(独立変数)を操作して、その結果として他の事象(従属変数)が制御されているかを調べるために、実験を行うことを実験という。

? <行動科学の歴史(学習心理学を中心に)>
人がある行動をするのは、生物学的属性によるのか、環境との関係によるのか問題となった。19世紀までは内観法が勧められたが、19世紀から20世紀初頭は行動主義者が多く現れた。Watson.J.B.がS-R心理学を、Thorndikeが試行錯誤学習を提唱した。そしてウォルフガング・ケーラーがチンパンジーの洞察学習の実験をした。ケーラーは、従来の行動主義者たちが想定した、試行錯誤的で連続的な学習過程とは異なる「洞察学習」という学習スタイルがチンパンジーなどの霊長類では可能であるという主張をした。これは現在の認知心理学にも繋がるものであるが、一方、最近になって、Epstein.R.はハトによっても特定の先行体験があれば、あたかもケーラーの示した洞察学習と同様の行動を示すことができることを示した。Epsteinの研究は行動分析学の始祖であるスキナーの主張である行動とは、現在と過去の環境との相互作用によって説明できるという主張をよく表している。

? <ケーラーの実験とエプシュタインの実験を対比して行動分析の特徴を述べる>
ケーラーのチンパンジーの洞察実験から、チンパンジーはハトにはない能力を持っている、と考えられたが、エプシュタインのハトの洞察実験で、環境との相互作用の歴史を操作することで、ハトもチンパンジーと同じ行動ができるようになることが判明した。そこから、動物がある行動をするのは現在と過去の環境との相互作用による、と宣言しているのが行動分析学の特徴を補強している。

? <(応用)行動分析学の特徴を、誰がどのような仕事を行うために使うのかを前提に述べる>
すべての人が、個人の能力に関係なく、環境を変えるだけで、どんな仕事も行動もできるようにするために、(応用)行動分析学は行動の原理を、個体をとりまく過去および現在の外的環境の中にもとめるという特徴を持っている。
 応用行動分析学は、他者の行動の成立を支援しようとする人が、どのような環境設定(援助や教授のための)を提示すればそのことが実現するかについて自らの行為の効果を検討しながら実践しようとする場合に用いる。応用行動分析は、(援助者:研究者の)自らの行為の効果を注意深く振り返らせること、そして、うまくいかないときに当事者(対象者:被援助者)の素質の限界とあきらめず、環境操作(援助設定を含め)の探求をあきらめず、勇気づける方法論であることが特徴的である。

 赤い部分が添削部分です。